16.ちゃんと甘やかしますよ
夜、レナートは夢を見た。
ああ、まただ。
夢を見ながら、どこかで、そう認識していた。
ヴェルナスタ共和国は、遠く海外にも、
世界大戦による帝国主義の
五年前の夏、レナートは妹のプリシッラ、母親のオフィーリアと一緒に、ガレアッツオの
オフィーリアは三十二歳、レナートと同じ
八歳のプリシッラは、ガレアッツオの
ガレアッツオは半分仕事だが、旅行のようなものだ。
初めて目にするものばかりで、レナートもプリシッラも、とても興奮したのを覚えている。
「お母さま、聞いて! 前の港町で買った
「こら、言い方がずるいぞ! 二人でわけた分を、おまえが先に食べ終わってただけじゃないか」
「まあ。それじゃあ、私も一つもらっていたはずだから、それをあげましょうね」
「母さん、プリシッラを甘やかさないで。どんどんちゃっかり者になって行くんだから」
「レナートも、ちゃんと甘やかしますよ。抱っこして、口づけしてあげます。何回で
「あたしも手伝う! お兄さま、こっちこっち!」
「……知らないよ、もう」
仲の良い家族だった、と思う。
帰りの
もう一隻に乗り移るしかないが、
この辺りの記憶は断片的だ。
ガレアッツオが、レナートだけを抱いて運んだ。悲鳴と破壊音が
ヴェルネスタの病院でレナートが、一人きりで目覚めた時、ガレアッツオはもう
そして翌年の初夏、
<
二本の
そして
ヴェルナスタ共和国が、国民すべてが、海の
「私の……
ガレアッツオは昨日と同じ言葉を、問いつめるレナートに言った。
海も嵐も、自然の現象だ。太古から人間が神と
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