3.局に案内するわ
週始め初日の授業を、リヴィオは、ほとんど
休んでも、授業料は帰ってこない。将来、少しでも
リヴィオの
「ええと……本当に大丈夫、リヴィオ? 家まで歩ける?」
「ああ……な、なんとか。でも、その前に……悪いんだけど、なにか食いもの持ってないか、レナート?」
机に
銀色の髪でどこか中性的な、衣服も仕立ての良い
「んー、お昼に食べ切れなかった、
「……悪い。それは、しばらくやめとくわ」
なぜか朝から食べても食べても空腹なのに、それだけは精神的な
「近くの
「助かるよ……あとでちゃんと、金、返すから」
「そんなことより、もうすぐ校舎、閉められるよ。玄関までは、自力で出て待っててよ」
レナートが、小走りに教室を出て行く。言われた通り、リヴィオもなんとか、重い身体を引きずるように玄関に出た。
少し待って、レナートが買ってきてくれた
レナートも一緒だ。リヴィオの家は小さな
本当は長期滞在の客として、宿泊費も受け取っているのだが、リヴィオの母親と本人がいろいろ話し合って、こういう形に落ち着いたらしい。
リヴィオとしては、とにかく神経を使う料理や
「おかえり! もうすぐ夕食できるから、お客さんたちの前に食べちゃいな」
「あ、ぼく、手伝います」
一階の食堂の奥、
三十六歳でまだ若々しく、
「あら? 帰ったのね。ちょうど良かったわ」
二階の客室につながる階段から声がして、見ると、
「あ……! ええと、昨日の……っ!」
「ロゼッタよ。ロゼッタ=ロッシリーニ」
「さん、をつけろとは言わないけど、仕事はあたしが先輩よ。十七歳。あんた
ぐうの
リヴィオは、世界の理不尽を飲み込んだ。
ロゼッタはそのまま、リヴィオが座ろうとしていた
油断すると、女の人は怖い。どうしたものかと、つい、
「座りなさいよ。あんな胸の大きい、絵に描いたような
「な、ななな、なにを……っ?」
「あたしだって、あんたみたいな
なぜか女性の好みの
自称えらい
あの役立たずが嫌いな点では、むしろ仲間だ。
がちゃん、と音がして、リヴィオの分の手持ち食器だけが、
「お客さま。申し訳ありませんが、他の方の御迷惑になりますので、食堂では常識的な服装をお召し下さい」
「……なんでだか知らないけど、店員が客にケンカ売るわけ?」
「宿泊料を
レナートが、珍しく手厳しい。
「また、業務以前に、個人と個人も対等です。友人を
「お、おい、レナート……」
「ダニエラさんも、同じこと言うと思うよ」
リヴィオは、内心で前言を
「あんたが正しいわ。悪かったわよ。今度から気をつけるし、この子にも
ロゼッタが
こうなった以上、レナートは
「ごめんなさいね。今まで寝てて、空腹で気が立ってたのよ。あんた、よく学校なんて行けたわね」
「そ、そうなんですよ! 朝からもう、いくら食べてもお腹がへって、眠くて……それに、ロゼッタさんは、どうしてここに……?」
「だから、ごめんってば。敬語は
「どういうこと……?」
「この後、時間ある?
局、仲間、仕事と、とにかく理解が追いつかないが、給金という単語だけはリヴィオの意識に突き刺さった。
「それから、ここにいるのは、昨日ぶっ倒れたあんたの家を不思議〜な力で調べて、運び込んであたしも
「あ、ありがとう」
「はい、仲直り終了ね。食べる時は全力で食べるから、残りの話は、局に行ってからするわ」
ロゼッタが身体を起こしたちょうどその時、レナートが夕食を運んできた。
実のところ、ロゼッタに言われるまでもなく、リヴィオも皿が並ぶが早いか、全力の無言でひたすら食べることに
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