2.なかなかの美意識ですね
リヴィオは
「ああ、もう……わかったよ! こうなったら恋人なんて通り越して、直接、結婚相手を探すことにするよっ!」
叫んで、男から
やっぱり、すごく
なんだこれ。なにも起きないぞ。
力とか素質とか、ああ、もう、どこからがデタラメなんだ。
いろいろ考えていると、
ぬるっと
リヴィオは、きつく目を閉じた。
一呼吸して、それでもなにも起きなかった。
いや、
開けた目の
「なかなかの美意識ですね……あなた、気に入りましたよ」
リヴィオの横に、
ゆるやかに波打つ腰までの金髪に、少し切れ長の
ふわ、と、また良い
「え……ええ……?」
「気を抜かないで下さい。
美女の言葉に少し遅れて、
引き抜いた勢いで、
「あ、あああ、あの、俺は、どうすれば……っ?」
「グリゼルダ」
「は……?」
「私です。良い名前でしょう」
グリゼルダが、リヴィオの後ろから、寄り
「
「よくわからないけど、わかった……っ!」
リヴィオは、もう考えるのをやめた。岩の
グリゼルダとリヴィオが、右手を突き出した。
「な……なにが、どうなって……?」
リヴィオは、そこまでしか言えなかった。倒れたまま、
「まあ、こんなものですかね。
グリゼルダが、
リヴィオがなんとか目玉だけを動かすと、我ながらあきれたもので、ずっと握りしめていたままの
「それ、食べたらいかがですか。少しは元気が戻りますよ」
この人は、なにを言ってるんだろう。リヴィオはようやく、グリゼルダを、異常ななにかを見る目で見上げた。
「ええと……あ、片づいたみたいですね。いやあ、やっぱり君、才能がありましたね」
だいぶ離れた
こんちくしょう。
リヴィオが目だけでののしった。まったく伝わっていない顔で、男が頭をかいた。
そのままリヴィオの方に歩いてこようとした男が、立ち止まった。
「あれ? すいません、まだでしたか」
男の言葉に、リヴィオは嫌な衝撃を受けた。すっ
それでも、あちこちに飛散した
男のくせに情けない、とよく言われても、虫は大嫌いだった。特に
こんな状態でたかられたら、さらわれる前に死ねる。グリゼルダも、さすがに少し困ったような
もう少し遅かったら、本気で泣いていた。
六本だか八本だかの
触れた瞬間、
ふわり、ふわりと、同じくまっ
なんとか振り向こうと、リヴィオは身体をよじった。
顔が上を向いた時、倒れずに残っていた
炎の照り返しに、
「なによ。もっとひどい目に
「それ、上司に言う
どうやら、自称えらい
いつの間に現れたのか、少女の下、
鋭い目でグリゼルダと見合っているが、敵意のない、
緊張の糸が切れた。
リヴィオは、暗くなる視界のまま、気絶することをなんとなく自覚した。
最後に、あたり一面に立ち込め始めた、魚の焼ける
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