22.ぼくと父さんの問題だよ
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公共広場の南岸には
広場の
「ザハール、だっけ? 来るかな、あの野郎……」
「来るわよ。あの手のかっこつけは、派手な舞台を外さないわ」
政府関係者の列の外縁、警備人員の中に、リヴィオとロゼッタも並んでいた。
赤い
周囲の警備人員は、みんな
祝祭客があくびをもらしそうな、絶妙な寸前、司祭の説教が終わった。
いや、静かすぎた。
列の先頭にいる
銀髪の中性的な顔立ちに、
「海は……母さんと、プリシッラの
「違う。レナート」
ガレアッツオが、レナートを見据えた。
「海は海だ。巨大な、自然の摂理だ。誰の
レナートの顔が憎しみにゆがんで、
無音だった。
音の代わりに、陽光を一瞬でかげらせて、氷雪の暴風が吹き荒れた。
「待ってたぜ、レナートっ!」
暴風を一直線に引き裂いて、リヴィオとグリゼルダの、
「どうして、また邪魔をするんだ? ぼくと父さんの問題だよ」
「おまえの親父さんが
リヴィオが、口の端をつり上げる。
「まあ、おまえとケンカするってのも、ちょっと珍しくて楽しいしな」
「……腹立たしいよ、リヴィオ」
人を食った答えに、レナートが
リヴィオの背後、
『ザハール=ジェミヤノヴィチ=ズダカーエフの
マトリョーナの言葉が、リヴィオの脳裏によみがえる。
『あなた方が目撃した冷気は、おそらく彼の
『なるほど。
いつものことだが、情報がそろい始めると、ロゼッタは急に自信満々な態度になる。
リヴィオは意識を、目の前の吹雪に引き戻した。
視界の全てがまっ白で、なにも見えない。背後からは、少し前まで陽気に騒いでいた祝祭客の、悲痛な叫びが聞こえてくる。
「型に分類する思考法は好みませんが、こうして広域に
リヴィオを後ろから抱きすくめる格好のグリゼルダが、耳元で、
自称戦術家のロゼッタが指摘していたことだ。中途半端に壁を作っても、乱気流は四方八方から回り込む。密閉しても気温低下は防げない。
大規模な
だがそれは、<
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