24.その機会を待とう
公共広場では、初夏の季節に異常な吹雪と、
公共広場を埋め尽くしていた全員が、少しでも安全な路地に移動するには、まだ時間が必要だった。公共広場につながる路地も、祝祭客の他、飲食物の屋台に大道芸人、老若男女であふれていた。
「すいません、
国事の式典だというのに、いつもの寝ぐせ頭をかきながら、アルマンドが緊張感のない声で言う。銀の
「問題ない。市民の避難が最優先だ」
式典服を吹雪にさらして、ガレアッツオが
厳しい顔は、
「先刻、レナートと言葉を交わしていた少年も、<
「期待の新人です。ぼくが
アルマンドの無意味な自慢は、いろいろな過程が抜け落ちていた。ガレアッツオも、さほど聞いてはいなかった。
「私は、
「別に、
アルマンドのとぼけた返事に、ガレアッツオは一呼吸、沈黙してから苦笑した。
「そう言うな。私には、難しかったのだ」
「左様で。では、まあ……お互いに接触し合っていれば、なんとかなりますかね」
「ならば、その機会を待とう。ここで、ぼうっとしながら、な」
ガレアッツオは苦笑したまま、
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凍結した
レナートたちの
氷上を華麗にすべるようなレナートたちが、実は追われ、防戦しながら
「いいかげん、しつこいよ……っ!」
レナートの倍ほどの身長に、
二体の氷像が、金切り声のような
舞い散る氷片と、
リヴィオの後ろに並び立つグリゼルダが、
「素敵ですよ、リヴィオ。あなたの
「平民育ちのケンカは、意地と
リヴィオの
「本当に……君は……っ!」
一呼吸、リヴィオと同じように、レナートも
「どうしてそんなに無知で、無邪気でいられるんだ……っ! ぼくは、君のようにはなれない! 悲しくて、辛くて……嫌いなんだ! 自分も、父さんも君も、この国も、海も……っ!」
氷像たちの四本の腕、二十本の爪とぶつかり合って、
「あの男が誰だろうと、関係ない……っ! 今ならぼくの力で、すべてを氷に閉じ込められる……とても、良い気分だよ……っ!」
氷像たちの腕を、今度は
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