41.供養してやりましょ
翌朝、リヴィオが官服で食堂に降りると、それなりに大きい
「どうしたの、これ?」
「ああ、おはようリヴィオ。お肉屋さんで
レナートが、
「おう、リヴィオ! 週末休日だってのに、ちゃんと起きてきたな! 感心、感心!」
「勘弁してよ、もう……この人、朝から声が大きくってさ」
食卓に、リヴィオより先にロゼッタがいた。なんとか部屋着ではなく、リヴィオと同じ
昨日の今日の作戦会議で、さすがに真面目な仕事人間を自称するだけはある。もともと朝が弱い分、ひどく不機嫌な顔なのは、まあ仕方がなかった。
ピエトロは次の航海まで
生野菜と
「ひよこは、もう少し太らせてから、内臓を抜いて串焼きにするんだ! 東の方の国じゃ、祭り屋台の定番だぞ!」
「骨はあんまり固くないから、包丁の背で砕いて、そのまま食べるんだってさ。おもしろいよね」
ふわふわの黄色い羽毛は愛らしいが、
ピエトロとレナートが料理の話で盛り上がり、料理される予定のひよこがうるさい食堂で、肉料理を食べる。鶏肉料理はなかったが、なかなかの
「やあ、おそろいですね。朝食に間に合えて、良かったです」
のんきな声がして、外からアルマンドが入ってきた。いつも通りの寝ぐせ頭で、無表情のマトリョーナも一緒だ。
二つの食卓を広く使って、特務局<
ジャズアルドは出てきていない。グリゼルダだけが、
「リヴィオくんが捕まえた三人を、軍の留置所で尋問しました。マトリョーナさんが手伝ってくれて、だいぶ助かりましたよ」
「また新しい快感を覚えました。世界が広がります」
「ああ、もう、前置きはどうでも良いわよ」
ロゼッタが豚肉の
「こういう連中は、いつになっても
「この形に、なんか意味あるの?」
「あると考える連中のいることが、問題なのよ」
リヴィオの素朴な疑問に、ロゼッタが
「ここ最近、マトリョーナやレナートの件で、ヴェルナスタでは大規模な
「それを彼らが、利用したということですか」
「正確には違うわ。
マトリョーナの
「世界中に
「彼らは、日時と座標にも要素があると言っていましたが」
「リヴィオ。適当に、大きな数字を言ってみて」
「え、俺? ええと……
「……あんたも
「ごめん。俺もそう思った」
「まあ、良いわ……じゃあ、一かける二、たす三、たす四は?」
「九だろ」
「九は十進法の最後の数、世界の終末と新たな再生を暗示する数よ。つまり一二三四は数秘術で、この世界に滅びを呼び込む邪神を分解、再構成した数字なのよ」
「え、そうなのっ? マジで?」
「ものすごく
「ですがロゼッタ、
それまで黙っていたグリゼルダが、少し不満そうに言う。確かにあの
「そうね。話が最初に戻るけど、多分、
「秘密結社<
「どっちなんだよ」
「
「海はともかく、邪神と、
「……だから、
会話を散らかすマトリョーナとリヴィオに、ロゼッタが白い目を向ける。
「とにかく、怪しげな儀式で
「昔から定期的にありますよねえ、こういうこと」
「たかが
アルマンドとロゼッタが、同じ表情でため息をつく。
「結局あたしたちの
ロゼッタが、牛肉の
「そこのひよこと同じよ。人間さまの都合でぶっとばして、せいぜい
「あれ食うの……?」
「まあ、
「そう言われると楽しみです」
リヴィオ、グリゼルダ、マトリョーナが、それぞれの反応をこぼす。絶妙にまとまらない空気に、食後の
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