6.適当だよなあ
ヴェルナスタ共和国の
二本の
市街の建物は、よほどの密集地のまん中でなければ、どこかの面が必ず水路に面しているほどだ。
生活用品の物流や、個人の中長距離の移動手段も、
「ロゼッタと二人で手分けして、全域を見回れというのは、人使いの荒い話ですね」
「今、他の
リヴィオは、あくび混じりに、
支給された
「……」
「な、なに? グリゼルダも食うの?」
「いえ。私が言うのもなんですが、
「なんか、どうしようもなさそうだしなあ。なっちゃったもんは仕方ないさ。仕事だって、おえらいさん
リヴィオの単純思考に、グリゼルダがあきれたように笑う。
「あなたのそういうところ、
「そ、そうかな……てれるよ、あはは」
リヴィオの
実際問題、ロゼッタの言葉ではないが、少なくともグリゼルダの容姿は、リヴィオが思い
第三者からは
今、リヴィオは街の東から北、ロゼッタは西から南を
ロゼッタと二人で家を出た時は、話せるほどの事情を知らなかったから、
帰りは遅くなるかも知れないと言うと、母親のダニエラは、なんだか妙な笑顔になっていた。昼間の状態を見ていたからだろう、レナートは最後まで厳しい顔で心配していた。
過去の
『まず、
人間をさらうために出没するのなら、人通りが完全に
『
水路は、相手の
『先に
リヴィオは、ロゼッタの
さすがは年上で、先輩だ。合図や連絡は<
後は、まあ、
「あんな風に、ロゼッタが言ってたけどさ。
ふと気になって、リヴィオがグリゼルダに問いかける。考えてみれば、
グリゼルダが多分、
「それなりです。
「あ、なんか、物語で読んだことあるな。風、水、火、土ってやつ?」
「ええ。それに
「なんだ、一番地味なやつ……ったたた、
両足の小指の先で地味な痛みが爆発、したように脳が受信して、リヴィオがのたうち回る。この呪いには抵抗のしようがない。
「質量は正義です。質量を笑う者は、質量に泣きますよ」
グリゼルダがしたり顔で、わけのわからないことを言う。現在進行形で泣かされているリヴィオとしては、とにかく
「そ、それで……俺、具体的にどうすれば良いのかな?
「千差万別と言われたでしょう。手ほどきは、私が愛と時間をかけて、しっとりとして差し上げます。しばらくは、あまり複雑に考えないことですね。
「なんかみんな、適当だよなあ。その方が助かるけどさ」
「素質の一つですよ。物事を考えすぎる人間に、
「良いんだか悪いんだか」
リヴィオは
「だったら、相手もあんまり、深く考えない奴なのかなあ。一匹退治された昨日の今日で、すぐにまた……」
リヴィオが、無駄口を飲み込んだ。グリゼルダも、ほくそ笑む。
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