26.痛くしませんよ
凍結した
「レナートくんの素質にも驚きますが……あの少年の底力も、素晴らしいですね。少し、目算が怪しくなってきました」
「当然……! あたしの戦友を、なめんじゃないわよ……」
ロゼッタが荒い息で、胸を張る。一まとめにした赤毛の髪が、
顔、手足、服の至る所に、裂傷があった。ジャズアルドの両腕はロゼッタを胸に抱くように交差して、十二条の炎の
それでも、ザハールの速度は上がり続け、火線を置き去りにして
炎の
「あきれたものね……何本持ってるのよ、それ」
「私の
「
主人と同じ
そんな場合でもなかったが、ロゼッタがげんなりとする。
「ああ、うん……やっぱり、そういう方向なのね……」
「御安心を。レナートくんに浮気はしていません」
白く
次の
感覚神経も追いつかない、痛みもない。ロゼッタはひどくゆっくりと、落ちた自分の左腕の切断面から、鮮血が飛ぶのを認識した。
遅れて来た絶叫を
「
紫の
「ヤロスラーフは摩擦を操作します。接地の摩擦を上げて
「
ロゼッタが、
「それでも……勝ち名乗りは、早いわよ……っ!」
「次は首を落とします。痛くしませんよ」
ザハールが
火の粉の火線は意味がない。ザハールが言った通り、気流の摩擦も操作できるなら、火の粉の接触もすり抜けられる。純粋な速度は、もう完全に認識の外だ。
再構築できない。左上腕の断面は押さえても血流がこぼれ落ち、
ロゼッタはせめて、顔を上げた。ザハールをにらんだ。目線が合って、覚悟を決めた。
だから、すぐには気がつかなかった。
気流に、
いつの間にか
ザハールが消えた。
紫の
ジャズアルドが、
刃が
ジャズアルドが消えて、崩壊する
「……あんた……どうして……」
「恩は
メドゥサのからかうような
「やった、かしら……?」
「そんな
メドゥサが、
「リヴィオを……お願い……」
それだけ言って、ロゼッタは遠のく意識を手放した。
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