13.きつく言っておいてあげましょう
ヴェルナスタ共和国の
無数の水路が市街を走り、建物は色鮮やかな
もうすぐ初夏の祭り、
当日は平素にも増して飾りつけられた、星の数の
気の早い者たちは今から連日の祝杯騒ぎで、よく晴れた週末休日ともなれば、街全体が陽気に浮かれていた。
「……また、胸が小さくなった気がするわ……ジャズアルドの奴、人の気も知らないで……」
「そ、そんなことないよ……ロゼッタ、かっこいいよ! 変わってないよ!」
「
「違うって! 他に言い方ないだろう?」
「……あんたたちに言われると、腹立たしいのも倍増しね……」
朝の
二人とも、下着と言われない最低限の
豊かでやわらかい胸が、後頭部に意識的に押しつけられているようだが、反応する元気がリヴィオの方になかった。
ジャズアルドはいつものことなのか、なにかを
「だから、そんなに出ずっぱりだと、本気でリヴィオの
「リヴィオが
「
文字通り頭越しに飛び散る火花に、リヴィオは
頭の中には、もう、朝食の追加が早く食べたいという欲求しかない。自分で自分に、そう言い聞かせた。
がちゃん、と、ことさら大きい音がして、
「あの……レナート……?」
「早く食べちゃってよ。いつまでも
「な、なに……? レナート、怒ってる……?」
「別に。ぼくの知らないところで、なんだか女の子と楽しそうで
「違うって! いや、ごめん! 心配かけて悪かったけど、遊んでたわけじゃ……」
言い訳など
外出するのか、ちょうど二階の客室から階段を降りてきた女の人と、危うく肩をぶつけるところだった。
短い金髪と、男物みたいな
「失礼」
女の人が短く言って、すれ違う。リヴィオは、無意識に腰が引けていた。
「あんなお客さん、いたっけ……?」
「今週の始めから、
「いや、だから……ごめん! 悪かったって……!」
大陸の冬の風のようなレナートの声に、リヴィオはとにかく
すれ違った女の人の
〜 第一章
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