43.悪いけどそこまでな
「……あれ、大丈夫なのかな……?」
「さすがに、動物に遅れをとるロゼッタでもないでしょう」
「いや、ほら……
「それこそ、私たちが心配することではありませんよ」
圧縮空気の
グリゼルダが、気を取り直すように一息ついた。
「まあ、おおむね戦術の範囲内です。こちらはこちらで、仕事をしましょう」
「そうだな。あ、おーい、じいちゃん。こっちこっち」
リヴィオが、今となっては
リヴィオも
豊満な胸が頭を半分包んで、花のような、
「あ、あのさ、グリゼルダ……他の人には見えてないんだろうけど、ここまでされると、俺も気が散るって言うか……」
「そんなつれないふりをしながら、内心、喜んでいるのがわかりますよ。素直でないのも、状況によっては好ましいですね」
「勘弁してよ、もう」
すぐ忘れそうになるが、グリゼルダ自身は、リヴィオの脳に各種の感覚信号を起こしているだけの幻像だ。逆に言えば、リヴィオの脳内は、すべて直接伝わっている。そういうものとして受け入れるしかない。
リヴィオは、目の横にある太ももをできるだけ見ないようにして、
「じいちゃん、ほら……あの辺に、怪しい連中の
「そいつは結構な話だが……なんだな。おまえの新しい仕事ってのは、祝祭の仕掛け係かなんかか?」
エンリコはエンリコで、
「おお……おお! あれこそ終末の輝きト=リカーラ=ナンバン! 我らの悲願の時が、ついに……!」
「で、ですが尊師! あれは
「いや、見ろ! オー=バンヤキーと争っているのは、炎の邪神トゥ=クダニだぞ!」
「そうだ! 奴らが争い、力を出し尽くした時こそ、我らがク=リト=マ=ッタクェさま復活の……」
「ああ、ええと、悪いけどそこまでな」
リヴィオが言うが早いか、<
「それじゃあ次は、そいつら全員、こっちの
「リヴィオ、あれを」
グリゼルダが、リヴィオにささやいた。
白い腕の指し示す方で、
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