第10話 桔梗とお昼を食べることになったんだけど
お昼になり、桔梗にお弁当を作ってきたから一緒に食べようと言われ、俺は屋上へ向かう。ちなみにその連絡を授業中寝ていたため、返信できなかったんだけど催促の通知が44件も来ていた。どんだけ心配性なんだろね、しかも44のぞろ目ってやばくない? 今日俺は死んでしまうのかな? ああ、でもぞろ目って縁起がいいよね。死を超越するってことだろうか。
ちなみにうちの学校の屋上はカップルや、女子たちがよく食べているので俺は行ったことないんだよね。さすがの俺も一人でそんなとこ行く勇気はないからさ。
少し遅れて屋上へ着いた俺は目の前の光景に困惑するのであった。
「二宮さんもし暇だったらちょっと話があるんだけど来てくれないだろうか?」
「すいません、私はこの後ご飯を食べる約束をしているんです」
桔梗と同学年らしき男子生徒が何やら会話をしている。これってナンパなのかな? でも桔梗と親しい人だったら邪魔をするわけにはいかない。俺は二人の会話を聞いてどう行動するべか悩む。
「本当に少しでいいから」
「困ります……」
困っているのか、じゃあ、さすがに助けなきゃな。俺は空気を読んで桔梗に声をかけた。
「おーい、桔梗待ったー? お腹ペコペコだよー」
「あ、刹那待ってましたよ。今日も刹那の好きなものを作ってきましたからね」
うお、いきなり抱き着かれた。俺の体に桔梗の大きい胸が……沈まれ俺よ、暴発トランザムするんじゃない。必死に俺は素数を数える。数字を数えれば平静になれるはず。でもさ、69って数字エロいよな。前、委員長に最近どんな本読んだって聞かれて69って答えたら何か顔を赤くしてしばらく話しかけても答えてくれなかったもん。
「うわぁぁぁ、やっぱり二宮さんは一条と付き合っていたのか……」
俺達の言動をみて男子生徒君は泣きながら去っていった。なんかすまないなとは思う。それをみてさすがの俺も察した。気になっている女の子が目の前で他の男子に抱き着いたら死にたくなるよな。
「こういう事ってよくあるのか?」
「まあ、一か月に一回くらいでしょうか……私は刹那以外はどうでもいいのですがよく好意を寄せられるんですよね……でも刹那のおかげで今後はなくなると思いますよ」
まあ、桔梗って美人だからもてるんだよな。あとおっぱい大きいし。あれ、待って。今後なくなるってどういうことだ?
「だって、今ので多分刹那と付き合っているっていう噂が広まりますからね。えへへ……これで噂が流れれば刹那だって……」
「え、それまずくない? 俺達単なる幼馴染だし……」
俺の言葉になぜか彼女は嬉しそうに笑うだけである。でもさ、俺はともかく桔梗はもてるんだから無茶苦茶タイプなやつに告白されるかもしれないじゃん。このままではまずいでしょ。俺のせいで桔梗の恋の可能性をつぶすのはなぁ。
「俺ちょっとさっきの人止めてくるわ」
「いいんです、刹那早くお弁当を食べましょう」
「でも……」
「いいんです、刹那早くお弁当を食べましょう」
無限ループだ!! 尚も俺が行こうとすると腕を引っ張られてしまいその先に柔らかい感触があった。うおおおおおお、これはなんという天国か!!
「刹那は私と噂されるのは嫌ですか?」
そう言って上目遣いで桔梗が訴えてきた。嫌とか良いとかそういう問題じゃないんだけど……俺が言いよどんでいるとさらに腕が強く引っ張られる。それはつまり手に胸がより当たるという事で……まあ、よくわからねーけど桔梗がいいならいっかー。
とはいえこれ以上くっつくのはまずいなと思う。周囲の視線もあるしね……俺は周囲を見回すが、カップルばっかりだぁー。みんな自分たちの事しかみてねーわ。なんか大丈夫なきがしてきた。てかすげえな、あーんとかしてるよ。なんか青春の1ページじゃん。
「ああいうのってあこがれますよね、私たちもやってみますか?」
「え?」
「はい、あーん」
「あ、ああ……」
桔梗が箸でとったミートボールがそのまま俺の口に運ばれる。うまい!! なんか勢いでやってしまったが気恥しいな。しかし、今日も全体的に料理が赤いんだけどなんでだろね? 桔梗のラッキーカラーかな。なんか毎回赤な気がするけどその占いインチキじゃないかなぁ。
「そういえば刹那。今日の放課後付き合ってくれませんか? 駅前に新しくおいしいケーキとパンケーキを出すお店が出来たんです」
「あー悪い、今日は予定が……」
「もしかして女の子ですか?」
「ひぇっ」
俺の一言でさっきまで笑顔だった桔梗が一瞬で無表情になる。その顔をみたカップルの一人が悲鳴をあげていた。そんなにこわいかね? これはこれで虫みたいな目で可愛いと思うんだけどな。それはそれとして何か本能がやばいって訴えてきている。なんだろね。別に委員長と話すだけだから言ってもいいんだけど口留めされているんだよなぁ。どうしようかなって思いながら周りを見回すと、気づいたら屋上からは人がいなくなっていた。まだお昼休みはあるはずなんだけどな。魔法みたいですごいなって思う。
「まあ、ちょっとね、男の子には秘密があるんだよ」
「ふーん、私に言えないことですか……ふーん、まあいいです。その代わり明日は私に付き合ってくださいね」
「いいよー、どうせ暇だしね」
その一言で納得したのか、桔梗はまた笑顔に戻った。何か知らないけど機嫌がなおってよかったよかった。俺達は昼休み終了の予鈴が鳴るまでお弁当タイムを楽しむのであった。
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