第11話 委員長と話し合ったんだけど
放課後になり俺は委員長が教室を出た五分ほど後に部室に向かった。扉を開けようとしたが鍵がかかっている。あれ、まだ来てないのかな。
「合言葉をいいなさい、そうね……私の素敵なところ」
「そうだな……たくさんあるけど、まずは、クールそうな外見で笑うと可愛いところ、俺が馬鹿な事を言ってもなんだかんだ突込んでくれる意外とノリの良いところ、宿題忘れたときにこっそりと俺に答えを教えてくれるところ、小説を書いているときの真面目な顔が美しいなって思うところ……」
「ごめんなさい、私が悪かったわ、今すぐ開けるから黙ってちょうだい。くっ、今回は私の負けね……」
そう言うと扉が開いて少し顔を赤くした委員長が出迎えてくれた。まだまだ途中だったのに……いつもの部室だが、机の上には何やらトランシーバーのようなものが置いてあった。そして俺が入ると同時に委員長はすぐに扉をしめ鍵をかけた。え、これから何起きるの? もしかして襲われるのかな。
「ストーカー対策をするわ、それでは一条君、あなたが盗聴されているかどうかを調べるから大人しくしてくれるかしら。こいつでね」
そう言って委員長はポーズを決めながら机の上のトランシーバーのような機械を手に取った。結構ノリノリである。実はスパイものとか好きなのかな。あー、でもミステリー小説とか結構読んでいるからこういうのに憧れがあったのかもしれない。でもさ……
「委員長いくらなんでも、盗聴器はないよ、普通の男子高校生にそんなものが仕掛けられているはず……」
『ビービー』
「やっぱり黒ね」
「うっそでしょ!?」
機械がけたたましくなり、委員長は俺のはいている上履きを奪い取った。何か同世代の女の子に足を抑えられて靴を脱がされるのってちょっとエッチな感じで興奮するね。そして靴のインソールを取り外すと何やら黒い塊が入っていた。
「!!」
「ごめんなさい、やはり何もみつからなかったみたいね」
俺が驚きの声を上げようとすると委員長に手で口をふさがれた。黙っていろという事だろう。でも盗聴器とか本当にあるんだな。すげえ世界だぜ。
委員長は盗聴器を口元にもってきて深呼吸をしてから……
「あーーーーーー!!!」
「うおおおおお!!」
いきなり大声で叫びやがった。中々の音量であり同じ部室にいる俺も悲鳴を上げてしまった。これって盗聴器で聞いているやつがいたら大ダメージだな……
「やはり盗聴器は仕掛けられていたわね……」
「これって何かのまちがいじゃ……」
「確かにあなたの人生は間違いだらけかもしれないけれど、この機械が探し出したしたという事実は間違いではないわ」
「うわお、俺の17年が否定された。でもまだ17年だしね、人生80年これから長いしなんとかなるでしょ」
委員長は満足そうにうなずいてから部室の窓を開け、自分の靴といつのまにか回収していた俺の靴を並べる。え、このまま窓から脱走するの?
「これでいいわね、ここにはもう少しであの子がやってくるだろうからどこかで作戦会議をしましょう、そうね、一条君甘いものは好きかしら、最近できたケーキ屋さんケーキと焼き菓子の評判がいいのよね」
「大好きだよー、お世話になっているしおごろうか」
「結構よ、貸しは作らない主義なの、では行きましょう」
「俺は委員長に返しきれないくらいの借りができちゃった気がするんだけどな。それにしても貸しは作らないけど菓子は食べるんだね」
「……」
「ごめん、滑ったのはわかるけどなにか反応してくれない!?」
「ごめんなさいね、私はまだ異世界の言葉はわからないのよ……」
頼むから哀れなものを見るような目で俺をみつめないでくれるかな。そうして俺達はケーキ屋さんに行くことになった。桔梗も甘いもの食べたいって言ってたし、やっぱり女の子は甘いものが好きだなぁと思う。
部室を出るときゾンビ映画でゾンビが迫ってくるかのように部室のドアが、ガンガン叩かれていたんだけどなんだったんだろう? うちの部室はトイレじゃないし、鍵がかかってるからね。開かないよ。
学校を出た俺達はケーキ屋さんに入り窓際の席に案内され、メニュー表を眺める。ケーキの種類も豊富だがスコーンやクッキーもあるようだ。委員長はどんなお菓子を食べるのだろうと思うと、ご機嫌そうに鼻歌を歌いながら猫の顔のパンケーキを眺めている。耳を澄ませると「にゃーにゃー♪」と小声で鼻歌をうたっているようだ。なにこれむっちゃ可愛いんですけど!!
「なによ……猫が好きなのよ、悪い?」
「いやぁ、委員長は可愛いと思ったんだにゃ」
「どうでもいいけど、男子高校生の語尾ににゃーはきもいわよ」
俺の視線に気づいた委員長が毒舌を吐くが可愛らしい。羞恥のためか顔を真っ赤にしているのでいつもの切れ味もないんだよね。とりあえず注文は決まったようなので、店員さんを呼ぶことにした。俺の呼び鈴でフリフリのミニスカートを履いた店員さんがやってきて……
「注文は何に……ひぃぃ!!」
営業スマイルから悲痛な叫びに一転させた。何がおきたの? と思って窓をみると無表情にこちらを覗いている少女がいた。って桔梗じゃん。どうしたんだろうね、しかも何かぶつぶつとつぶやいている。念仏でもとなえてんのかな? まるで浮気現場を目撃した恋人みたいな感じである。いやまあ、恋人なんていたことないんだけど。
桔梗は俺と目が合うと目は感情がないまま、ニタァっと笑った。ごめんちょっとこわいんだけど。あー、あいつもここ来たいって言ってたから先に来たこと怒っているのかな? 甘いもの好きだから明日も付き合うって言うのに……
「くっ、まさか盗聴器だけでなくGPSまでついていたというの? ヤンデレ女を舐めていたわね」
委員長が一生の不覚とばかりにつぶやいていた。何を言っているんだろう、桔梗は元ツンデレ系幼馴染で、現メイド系幼馴染だよ。ヤンデレなんてラノベじゃないんだからいるわけないでしょ。
「できれば二人で話したかったのだけれど、二宮さんも混ぜてあげましょう。あなただって幼馴染が通報されるところをみたくはないでしょう?」
まあ、確かに店員さんむっちゃびびってるしな。このままでは通報されそうである。俺は外にいる桔梗に声をかけることにした。
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