第12話 ストーカーの正体がわかったんだけど
「ねえ、一条君このパンケーキ可愛いと思わない?」
「残念ですね、刹那はパンケーキよりもモンブラン派なんですよ、はい、あーんするから食べてください。どうしたんですか、屋上の時は食べてくれたじゃないですか」
桔梗も合流して俺達はテーブルでケーキをたべているんだけど……ごめん、これどんな状況なの? 委員長は猫の顔の形をしたパンケーキを携帯で撮影しながら楽しそうに声をかけてくるし、桔梗は桔梗で俺の好物のモンブランをフォークでさして俺のほうに差し出してくる。そう、俺はモンブランがすきなのである、でも自分で同じの頼んでるんだけどな。別に桔梗にもらわなくても一個丸まるあるんだけどな。
「パンケーキを見て喜んでいる委員長の方が可愛いよ、あと桔梗今喋ってるから口に無理やり入れるのやめてくれない?」
「呼吸をするように褒めるわね、私を口説いているつもりなのかしら? ごめんなさい。猫のパンケーキより魅力的になったら声をかけてね」
「委員長が可愛いってどういうことですか、私の事可愛いって言ってくれたじゃないですか!!」
「それって俺にも猫の恰好をしろってことかな? 委員長僕をたべてくれにゃ。桔梗も可愛いに決まってるじゃん。何言ってるの? あ、やっぱりモンブラン美味いな。桔梗も食べなよ。はい、あーん」
「男子の猫耳はつらいわね……害獣駆除を頼まなきゃ……」
「刹那があーんしてくれるとよりおいしくなりますね、あと刹那は害獣じゃないですよ。私にとっては人間国宝です。撤回してください委員長!!」
なんだろう、すっごいカオスだなぁ……俺達はわいわい騒ぎながらスイーツを食べる。何だかんだみんなで食べるのは楽しいよね。
食事もひと段落してお紅茶を飲んでいると桔梗が口を開いた。
「それで……委員長は刹那とここで何をしに来たのですか?」
「ここが何の店か知らないのかしら、ケーキ屋さんですもの、ケーキを食べに来たのよ。一条君と」
「私と行く約束していたのに……刹那の馬鹿」
すました顔で答える委員長とこちらを睨みながら頬を膨らませている桔梗。ねえ、なんで二人ともこんなバチバチしてるの、おかしくない? 近くのお客さんとか「ひえっ」って言って帰っちゃったんだけど……なんか雰囲気重いよね、せっかく美味しいケーキを食べたんだからもっと楽しそうにしようぜ。あー、でも桔梗が怒っている理由わかったかも。
「桔梗との約束を忘れたわけじゃないんだよ。俺さ、甘いもの好きだから桔梗とは明日行くつもりだったんだよ」
「ごめんなさい、刹那はちょっと黙っててください」
「空気をよめないっていうのはわかっていたけどここまでとは……赤ちゃんと同レベルなのかしら……」
「赤ちゃんは言いすぎじゃない? あいつらただ奇声あげて笑っているか、泣いてるだけだよ」
「笑顔で場を和ます分あなたよりましだったわね、赤ちゃんごめんなさい」
火に油を注いだだけだった。二人は……というより、桔梗が一方的に委員長を睨みつけおり、委員長は涼しそうな顔をしている。しばらく、膠着状態が続いたが、沈黙を破ったのは委員長だった。
「本当は一条君に心の準備をしてもらおうと思ったんけど、二宮さんにこれ以上恨まれたら殺されてしまいそうですもの……二宮さん、私たちはストーカーについてどうするか相談しにここに来たのよ。どういう意味かわかるでしょう? これを聞いてもあなたはここにとどまるつもりかしら」
「え、ええ。刹那の事は、私にも関係のある事ですから」
委員長の言葉に桔梗はなぜか目をそらした。あれ、なんだろ。その一言で攻守が一転したようだ。その様子を見て彼女はまた、溜息をつきながら話を続ける。
「今日盗聴器を発見したのだけれど、二宮さんはそれに心当たりはないかしら? 身近な人にしか仕掛けられないような場所にあったのよ」
「あるわけないじゃないですか、身近と言っても学校ですよ。不特定多数の生徒がいるんです。誰が仕掛けてもおかしくないのでは?」
「ええ、そうね。でも、パンツの中なんて普通の人は仕掛けられないと思うけど……昨日一条君の部屋に行ったあなた以外にはね!!」
「まさか、刹那のパンツの中身を見たんですか!! ずるい。私だって最近はみてないのに」
何言ってるんだ委員長は……盗聴器はパンツの中じゃなかったし、俺のパンツの中身は親と俺くらいしかみてないよ。まさか俺スタンド攻撃でも喰らって時間でも飛ばされていたのか? てかささすがの俺もパンツの中に盗聴器仕掛けられた気づくよね。
ん……? ちょっとまって、なんで桔梗はパンツの中みたことあるの? おかしくない? たしかに幼馴染だけど、小学校低学年からの付き合いだからお風呂とかは一緒に入ってないんだけどな。
「それに盗聴器はパンツの中じゃなくて上履きの中に……あっ」
「語るに落ちるとはこのことね、なぜあなたが上履きの中にあったって知っているのかしら?」
「それは……ドラマです、昨日たまたまみたドラマにそんなシーンがあったんですよ。ドラマの話と混同してしまいました。現実にも靴の中に盗聴器が仕掛けられているなんて物騒な時代ですね」
「あくまでしらをきるのね……なら質問なんだけれどなんで私たちがここにいるってわかったのかしら。あなたの通学路からは離れているはずだけれど……」
「運命ですね、刹那と私は赤い糸でつながれているので偶然出会うんですよ」
「赤い糸というよりも呪いの鎖って感じがするわね……まあいいわ、一条君、最近二宮さんに変なアプリをダウンロードさせられなかったかしら」
変なアプリ……そう言えば昨日ダウンロードしてたな。てか委員長探偵みたいでかっこいいな。俺は携帯を差し出した。俺から携帯を取り上げようとした桔梗を委員長が制した。
「もしかしてこれの事かな?」
「刹那それは……」
「やっぱり……これはお互いの位置が常にわかるアプリよ。以前カレログとか話題になったのを覚えているかしら。それの類似品ね」
委員長は俺の携帯をみて呆れたように言った。すげえ、アプリを入れるだけでお互いの位置がわかるのかよ……俺はなんでこんなことをしたのか聞こうと、桔梗をみるとなぜか彼女はおびえた顔でこちらをみていた。
「桔梗、あのさ……」
「違うんです……私は刹那が心配で……本当にそれだけだったんです」
「桔梗?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、私を嫌わないで……追いかけてこないで!!」
俺の言葉を聞く前に彼女は店を飛び出してしまった。桔梗はどうしてしまったのだろう。だって俺が桔梗を嫌うなんてありえないのに……
-----------------------------------------------------------------------------------------------
今回はいかがだったでしょうか?
おもしろいなって思った方は、
是非作品フォロー、レビュー、コメント、応援の方をいただけると大変モチベがあがるのでしていただけると嬉しいです
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます