口は悪いが巨乳で美人な幼馴染に「別にあんたのことなんて好きじゃないんだからね!!」って言われたから「俺もだよ」って答えたらヤンデレになってしまった。
第52話 アリスとパンケーキをつくることになったんだけど
第52話 アリスとパンケーキをつくることになったんだけど
可愛いらしい部屋着から着替えて、再度エプロンを着たアリスと一緒に俺は一緒にキッチンに立つ。ちなみに着替えているときに、部屋で本を読んでいようとしたら、玄関まで追い出された。信頼なさすぎじゃない? 彼女いわく、変なところを漁りそうとのことだ。
俺はレシピをみながらパンケーキの作り方をみる。うん、これならできそうだ。隠し味に家庭の味が出るよね。
「じゃあ、俺がやるみたいに混ぜてね、こんな感じだよ」
俺はバイトで習った通りに、生地を混ぜる。結構力がいる作業だけど、双葉ちゃんもうまくできるから力というよりやり方だよね。そんな俺を、アリスは何か懐かしそうにその光景を見ていた。そして、彼女は得意げに微笑む。
「ふーん、これなら私もできそうね、みてなさい。あなたを超えて見せるわ」
「仮にもバイトでお金もらっている俺が、教えたばかりのアリスに負けたらプライドがボロボロなんだけど……ちゃんとできるといいね」
「あなた、私の事を馬鹿にしているでしょう? 目の前にお手本もいるんだもの。それなら、私だってパンケーキくらいできるわよ……たぶん」
「はいはい、そうだねー。口を動かす前に手を動かさそうね」
「くっ……絶対吠え面をかかせてあげるからね。そうね、普通ではつまらないわ、なら勝負をしましょう」
「料理をしていて、吠え面をかかせてあげるって言われたの初めてだなぁ……じゃあ、ルールを決めよう。アリスがちゃんとパンケーキを作れたらアリスの勝ち、失敗したら俺の勝ちでいいよ。もちろん、ちゃんと教えてるからね」
「言ったわね、じゃあ、負けた方が勝った方の言うことをなんでも聞くということにしましょう。フフ……次会う時はあなたは刑務所ね」
「待って、俺は何をさせられるの? じゃあ、俺はアリスにツンデレサービスをしてもらおうかなぁ……ってそれじゃだめだよ」
楽しそうに手を動かすアリスだけど、粉が飛び散ってるよぉぉぉ。俺は一旦アリスの手をおさえて後ろからアリスを抱え込むようにして、アリスの手に自分の手を重ねてと手本とばかりに動かす。やっぱり実際こうやった方がいいよね、俺も店長に習ったときはこうしてもらったんだよね、その時は、なぜかお尻の穴が危険信号を発信していたけれど……
「アリスわかった? おーい」
「刹那……近いわ」
「え? あ、ごめん!!」
「別にこのままでいいわ……せっかくだから教えなさい」
そういうと彼女は軽口をやめて、一緒に粉を混ぜる。後ろから見えるアリスの頬が少し赤い気がする……なんか沈黙だし、アリスって柔らかいなぁとか、きめ細かい肌が本当にきれいだなぁって思う。てかさ、店長がやってたから、ついやったけど、これってセクハラで訴えられたら終わりだよね……土下座でもしたら許してくれるかな? 通報されたら警察に突き出されるのかな? でもまあ、まだ未成年だから名前でないしいっかー。それにアリスもこのままでいいって言ってるしね。
そして、何とかアリスの分の生地も完成した。色々とびちっているせいか、量は小さくなってけど、これでパンケーキができそうだ。
「じゃあ、焼くよ。フライパンを温めたらゆっくりと弱火で生地を焼いてね」
「弱火ね、わかったわ」
俺はアリスがちゃんと弱火にしたのを確認してから自分の作業に入る。なんていうかさ、教えたりするって言うか、他の人と料理をするっていうのっていいよね。甘い香りと、ともに焦げ臭いにおいが……え、なんでするの?
「ちょっと、アリスこげてる焦げてる!! 早く火を消して」
「そんな……刹那の言うとおりにしたのに……あなたまさかはめたわね!!」
「濡れ衣ぅぅぅぅ!! そんなことするはずないでしょ。アリスの不器用さを舐めていたよ」
俺は焦げかけているパンケーキを救出する。でもさ、さっきまで普通にできていたはずなのになんでだろうね? いや、本当になんでだろう……俺たちはできあがったパンケーキを並べる。片方はちゃんとしていて、もう片方はところどころ焦げているパンケーキだ。アリスはそれをみて少し、悔しそうに唇を尖らせている。でもさ、こういうのって味も大事だけど、俺のために作ってくれたって言うのが嬉しいよね。
「なんというか、天使と堕天使って感じね……」
「そういえば天使のパンケーキってのもあるよね、せっかくだから交換っこしよ」
「ちょっと!!」
俺はアリスの返事を待たずに彼女のパンケーキに口をつける。生地はパサパサだし、ところどころ焦げていて苦いけどこれはこれで味があるよね。自分で作ったパンケーキなんていつでも食べれるし、元々アリスは俺にご馳走してくれるつもりだったからこれでいいと思うんだよね。
「さーて、せっかくだから生クリームと蜂蜜をトッピングしよう。カロリーの暴力だね」
「刹那……ありがとう」
「ん? 何が? それよりも冷める前に食べよ」
よくわからないけどお礼を言われちゃった。でもさ、アリスの顔が嬉しそうだったからまあ、いっかー。俺はアリスと一緒にリビングルームでパンケーキを食べる。アリスが「懐かしい……」って言って嬉しそうに食べているのが印象的だった。
パンケーキを食べ終わった俺は、時間も遅くなったので帰宅することにする。去り際に彼女にお礼を言う。
「アリス……食べた時に言い忘れたけど、パンケーキ美味しかったよ。なんというか珍しい味だった」
「そうね……焦げた部分が苦みになり、甘さを引き立てるのよって、馬鹿にして!! ふん、憐みの言葉はいらないわ。次はもっとおいしいものをつくってあげるからみてなさい!!」
「そうだね、また一緒に作ろう。今度はお店のレシピで作ってみよ」
また、作ろうってことだよね。良かった料理を嫌いにはなってないみたいだ。俺はすねたようにしているアリスに見送られて、家への帰路につく。ああでも、アリスの部屋着可愛かったなぁ……
そういえばと思い出す。賭けは俺の負けだなぁ……何をさせらるんだろう……刑期少ないといいなぁ……
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