第9話 委員長に呼び出されたんだけど
昨日と同様桔梗がおこしにきて、俺は一緒に登校した。今回は添い寝をされる前にちゃんと自分でおきたよ。だってあれって心臓に悪いんだって。なんかすっごい不服そうな顔をしていたがまあしかたない。あれ、これってツンデレのときと一緒で結局登校しているよね、まあ、可愛い女の子と登校できるんだからいいんだけど。
「あれって二宮さんと一条君じゃない?」
「本当だー、あの二人って釣り合わないのにいつも一緒にいるわよね。なんでかしら?」
「幼馴染らしいよ」
「あー、だからか……」
中学に入るころから結構聞く会話である。まあ、確かに美少女であり、人気者である桔梗と平凡な(自称)俺では釣り合いは取れないかもしれないが、別に恋人ではなく幼馴染なんだからどーでもいいじゃんと思うんだよね。と桔梗に言おうとしたら隣に鬼がいた。
「ひぇぇ!!」
「刹那ちょっとここで待っていてくれますか」
「あ、はい」
思わず敬語になってしまった。桔梗何を思ったのかさっき俺の悪口を言っていたやつの元へ行きにっこりと微笑みながら声をかけた。あ、また虫みたいな目になってる。
「私が刹那と一緒にいたら何かおかしいんですか?」
「え……いえ……その……」
「ごめんなさい、悪気はなかったんです!!」
桔梗に声をかけられた二人組はそう言って、どこかへ行ってしまった。なんか化け物にでもあった顔してたんだけど大丈夫かな。
「まったく、刹那の事を何も知らないくせに……」
「俺は別に気にしないんだけどな」
「でも大切な人が馬鹿にされたらむかつくんですよ、刹那も少しは怒ってください」
そんなもんかねーと思いながら俺は適当にうなずく。でもまあ、桔梗が怒ってくれたことは少し嬉しかったな。
「そういえば刹那、昨日落としたアプリは消してませんよね?」
「ああ、とりあえず入れてあるけど……」
「なら、安心です。誰かに言われても絶対消さないでくださいね」
「ああ」
やたら念押しする桔梗に少し不審を抱いたが、俺がうなづくと抱き着いてきたので俺の思考はおっぱいのやわらかさに殺される。まあ、桔梗は喜んでいるし、別にアプリあっても死ぬわけじゃないんだからいいや。
教室についたので桔梗と別れ俺は自分の席に着席した。すると俺を心配していたのか委員長が声をかけてくれた。
「おはよう、昨日は大丈夫だったかしら?」
「ストーカーからは、特に接触はなかったよ、変な手紙とかも桔梗が先に回収してくれたみたいだしね」
「それはそうでしょうね……私としてはあなたの察しの悪さはもはや病気の領域で、むしろそちらの方が心配なのだけれど……それともポジティブすぎるのかしら……」
「え、なんで、俺朝からディスられてんの?」
「いいえ、器が大きいって褒めてるのよ。でもそんな感じだから私や二宮さんとも仲良くやっていけるかもね……」
「そっか、よくわからないけど褒められたならいいやー」
俺が委員長にお礼を言うとなぜかまた溜息をつかれた。その顔は呆れてはいるものの侮蔑などではなくむしろ親愛が強い気がする。なんだかんだ委員長との会話って楽しいんだよな。他の人は委員長の事を冷たくて怖いとか、口が悪いとかいうけれど俺はそうは思わない。彼女はただ真面目で思ったことをはっきりと言ってしまうのだ。俺にはその強さがすごいまぶしい。
俺が見つめているに気づいたのか彼女は怪訝な顔をした。
「私の顔に何かついているのかしら? それとも惚れちゃった? ごめんなさいね、私、名字が一条で名前が刹那って言う人とは付き合うなって先祖の遺言で言われているのよ」
「わーい告白もしてないのにフラれたぜ、しかも先祖様ピンポイントすぎない? 逆にこれって運命じゃない? それに付き合うのがダメなら結婚するのはオッケーなんじゃないかな」
「これはまた一足飛びに来たわね……でもごめんなさい、私偽装結婚するほどお金には困っていないの、来世でまたプロポーズしてくれるかしら?」
委員長は楽しそうに笑う。うわーお、告白どころかプロポーズも断られたぜ。この感覚たまらねーな。俺と委員長はそのまましばらく談笑をしていたが委員長がいきなり携帯の画面を差し出した。
『口には出さないでほしいのだけれど、今日放課後付き合ってほしいところがあるのだけど大丈夫かしら? そしてこのことは誰にも言わないでほしいの』
と書いてあった。口で言えばいいのに、なんでこんなめんどくさい方法するのかはわからないが俺は黙ってうなづいた。でもなんかスパイっぽくてよいな。委員長とデートだ。あれ、これってアプローチされてるのかな?
「なんかすごい不愉快な勘違いをされている気がするのだけれどきのせいかしら?」
俺の顔をみて何を思ったのか委員長が不服そうにつぶやいた。これもツンデレかな? 別にあんたの事を好きなわけじゃないからねってやつ
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