口は悪いが巨乳で美人な幼馴染に「別にあんたのことなんて好きじゃないんだからね!!」って言われたから「俺もだよ」って答えたらヤンデレになってしまった。
第22話 バイトをすることになったんだけど その4
第22話 バイトをすることになったんだけど その4
買い出しが終わったのでお店へ行き、店長に材料を渡した俺達は新製品の完成品を待っている間、手が空いたので紅茶を淹れることにした。双葉ちゃんに習った手順で淹れると本当に味が変わるからすごいよね。
「どう、俺のお茶を入れる技術もそこそこ上達したかな?」
「すごいですね、もう、お店に出せますよ!! 頭はおかしいのに無駄にセンスと記憶力はあるんですね……」
「わーい、褒められた。やったね!!」
これで認められた。しかもセンスと記憶力まで褒められちゃったよ、やったね。前のマックもハンバーガーを作るの上手いねって褒められたんだよね。その後、接客してたら、なぜかお客さんに怒られて、よくわからなかったから、ニコニコしてたら余計怒られて代わりに店長が謝るって事件がおきたんだ。それ以降はホールに出してもらえなかったなぁ。なんだったんだろうね。
「いや、メンタル強すぎないですか? 例えるならば、江戸時代が舞台の映画でカーボンの盾をみた気分です。ちょっと傷ついたら、冗談ですよ、てへぺろって言ってうざ可愛い後輩キャラを演じようとしたのに、ただの嫌な奴みたいになっちゃたじゃないですか!!」
「今度はハーブティーの淹れ方も教えてくれる? あ、お礼に今度アバ茶を入れてあげようか?」
「会話のみゃくらくー!! アバ茶……? ハーブティーか何かですか? 聞いたことないですね、例えるならばモンハンで未知の素材を聞いた気分です!! 楽しみにしてます」
やっばい、アバ茶って一般常識じゃないんだね……満面の笑みで楽しみにしている双葉ちゃんを見て俺は罪悪感がわいてくる。委員長あたりなら冷たい目で「知ってる? 「ブッ殺す」と心の中で思ったならっ、その時スデに行動は終わっているのよ」くらい返してくれるんだけどな。あと双葉ちゃんモンハンはやるんだね。
「一条ちゃん、ちょっといいかしらー!!」
「はーい」
俺と双葉ちゃんが会話を楽しんでいると、厨房から店長が呼んできたので向かう。試食させてもらえるのかなぁ……俺がわくわくして顔を出すと店長はちょっと悩んだ顔をして口を開いた。
「あの子何かあったのかしら……? ちょっと前も元気をなくしてたんだけど、その時と同じ顔をしているのよね……私も聞いたんだけど大丈夫って言うばかりで話してくれないの……一条ちゃん心当たりないかしら?」
「うーん、どうなんでしょうか……」
店長の言葉に、さすがの俺も口を濁す。よくわからないけど双葉ちゃんが店長に言わないってことは秘密にしておいた方がいいと思うんだよね。俺が口をつぐんでいると店長は俺の手を握って祈るように言った。
「やっぱり同世代の子がいるから嬉しいのか、一条ちゃんが来てからあの子に元気が戻ったのよ。あの子も一条ちゃんを信頼しているみたいだし、もしよかったら、あの子が助けを求めていたら力を貸してほしいの、お願いできるかしら」
「ええ、もちろんです!!」
店長の言葉に俺は即答した。俺だって双葉ちゃんには元気でいてほしいしね。それにあの子は笑顔が似合うと思うんだよね。俺は店長から新作のケーキをもらう。
俺は厨房から戻って、スマホをみて画面を睨んでいる双葉ちゃんに声をかける。紅茶冷めちゃったからもう一度入れなきゃね。
「双葉ちゃん、新作持ってきたよー」
「……」
「双葉ちゃん?」
「うわぁ、何ですか、顔が近いですよ。まるで恋愛映画で言うちょっと気になっている先輩に、いきなり声をかけられててんぱったヒロインになった気分……いえ、今のはなんでもないです。忘れてください」
俺は心ここにあらずといった感じの彼女の顔を覗く。すると彼女はびっくりしたようにのけぞった。相変わらず楽しそうだなぁ……でもさ、やっぱりおかしいよね。
「双葉ちゃん大丈夫? やっぱり元気ないけど……」
「そんなことないですよ!! 元気ですって、例えるならばファンタジー映画で傷を負ったけど全快した気分です!!」
「……」
「やっぱりわかっちゃいます? お店で会ったせいか、さっきの子達と仲良くしてた時の事を思い出しちゃって……でもしばらくしたら落ち着くと思うので気にしないでください」
そういって彼女はえへへと笑うのであった。その笑顔は心なしか寂しそうな気がした。そして俺達はケーキを食べる。甘いケーキのはずなのになぜかしょっぱく感じてしまった。
「双葉ちゃんは、また、その子たちと仲良くしたいの?」
「はい……できたらですけど……でも、私にはこの店がありますし、お父さんや、一条先輩もいますから全然寂しくなんかないですよ」
「そっか、わかった」
ケーキを食べ終え片づけをすまして、店から出ると視線を感じた。誰かがこの店を凝視しているようだ。入ろうか悩んでいるのかな。だから声をかけてみる。
「すいません、今日はお店はお休みなんですよ。明日にでも来てくれると嬉しいです。ちなみに、おすすめはパンダのパンケーキですね、『キャッチフレーズはパンダだけにパンケーキです」
「あ、双葉といた男の人……」
「いくよ」
声をかけた女の子二人組はさっさと行ってしまった。やっぱり双葉ちゃんとショッピングしていたときの二人組だよね。なんで見てたんだろうね。双葉ちゃんの態度とあの二人の反応から考えてみる。だめだ、よくわからないや。だから行動するしかないよね。
俺が考えているとスマホがなった。桔梗からだ。すごいなぁ、今俺も連絡しようとしていたんだよね。
まるで盗聴器でも仕掛けられているか、どこかでみているようなタイミングだ。なんてね、やっぱり幼馴染だから以心伝心なんだろうね。俺は桔梗に電話をして今後の作戦会議をすることにした。
た。
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