第36話 お泊まりエピソードの前提における性教育の意義

 っっってな訳で結架さん☆ドキドキ☆オトコのヒトの部屋に初☆外泊〜ぱふぱふどんどんパシュンパシュンぱぁああん☆!(鳴り物オールスターズ)

 突っ込みました、エピソード。

 大変に有難くも「気になる」と関心を持ってくださって、ありがとうございます!

 さあ、外泊ですよウフフ♪


 それはそれとして。


 集一さんちは、金持ちです。

 なので、紳士教育のなかに、目的が自衛のものが含まれます。

 ナニ言ってんの?

 と、思われるでしょうが。


 まあ、所謂ハニートラップと言いますか。

 個人で終わらずに、会社ごとダメージを食らうことも、想定しなければならず。


 同性異性を問わず、公に出来ない関係は持つなという教育を受けてきました。

 それに絡めて相手も自分も大事にすること、意思や感情を尊重すること、軽はずみな言行は慎むことを、ごく当たり前に守るように育てられたのです。


 と、いうことで、結架を泊めるということについて、この時点での彼は積極的ではありません。彼女を警戒する気持ちは皆無ですし、人並みに欲求はありますし、過去に経験がないわけではありませんが。結架の人物像も影響しつつ。長く刷り込まれた価値観もあって、このときの貞操観念は割りと旧弊的にして厳しい(笑)。

 寧ろ結架に自分を男性として警戒させるべきではないかと考えています。それは、彼女が出来るだけ周囲の人間を同等に扱おうとしてしまうから。まだ、自分だけが彼女にとって特別なのだと確信には至っていない集一です。


 無防備が自分だけに対してならばともかく、他のメンバーにも及ぶのならば。鈍感な結架さん、迫られていることにも気づかないかもしれない。それを、相手は受容からの態度と感じてしまうかもしれない。


 であれば。

 いっそのこと、全員もれなく均一に警戒してくれたほうが、まだいい。


 とはいえ。

 肉欲はあるんですよ、彼。

 聖人君子ではないです(笑)。

 巷間に聞くロールキャベツ男子、ですかね。

 ただ、まあ、色々と体験談を語る人がいたり、実際にちょっかいを出されたりしたことで慎重になり、やがて理性的になったというか醒めたというか、精神面の絆を重んじるようになってます。まあ、相手が結架ですしね。ガツガツしたら逃げそうでしょ、彼女。そーいう人こそ、一度、目醒めたら、大変なことになるんでしょうけどね……。結架の受けた教育とは、またちょっと違ってますな。理詰め・理系を骨組みに、愛情や絆といった精神的な繋がりを肉付きとして、情操面で道徳的な内容にまで及んでいるのは似てますね。


 さて。これまで度を超して過保護な筈の鞍木でしたが。

 夜間に結架を、しかも意識のない状態で外に出すなんて、もってのほか。ここは、過保護ポイントですね。

 集一の部屋に置いていく。同衾するのが分かっていて。

 まあ、仮に二人がこの夜に一線を越えたとしても。

「集一なら、大丈夫」

 鞍木の判断は、この一言に尽きます。

 どう見ても深い眠りに安らいでいるだけの結架を心配して自分を呼びつけたことからも、夕食前に連絡させてきたことからも、これまでの諸々からも、集一が結架を傷つける可能性は絶無だと判断したわけです。それに、婚前交渉を避けるべきとは思っていない鞍木。まあ、音楽家やら歌手やらが幼い頃から身近な存在だったので、そういう価値観になるのも不思議はないでしょう。昭和でもないし。


 それでも厳格で特殊な家庭の育ちである集一からすれば、「なんで傍にいてくれないの⁉︎」と、なるわけです(笑)。

 この無防備すぎて不安になる結架を、意思表示も抵抗も出来ない状態で置いていくなんて!

 彼女の名誉のためにも徹夜してくれ、自分も夜を徹するのに吝かではない!

 ──くらいの気持ちでいます。


 まぁー、なんていうか、集一も過保護。

 そういえば、マルガリータも、結構、過保護な気がする。

 ……結架さんですからねぇ……。

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