第47話 いまさらだけどプロローグの話
執筆初期のこと。
とあるご縁があった編集者さんに「プロローグが三つ、ってダメですか?」と、訊きましたら「意味のある構成なら駄目ではない」とのご返事をいただき。
主役三人のそれぞれをプロローグとして作りました。
本当に最初のときは、結架の視点のものしか無かったんですけど、この対話のあとに、ほか二人の視点のものも書きました。楽しかった……。
三人それぞれのプロローグ。
各人から見た、物語。
そして、三つというのは、音楽でいう三楽章形式が思い浮かびますね。協奏曲の基本形式です。四楽章以上ある形式もありますが、まあバランスよく美しいのって三ですよね。うん。まあ、個人的には、そうなんです。はい。
第一楽章の結架は、作品のカオ。物語の全体を俯瞰できるもの。象徴的な存在。
アンダンテというのは速度のことで、歩くくらいのテンポであることを指示する速度記号です。
レリジョーソは、元は「宗教の」という意味で、〝厳粛に〟、〝敬虔に〟という表現を指示する楽語。
当時、結架を現在よりも神聖視していたのが垣間見える……。不可侵であるべき、
第二楽章では、緩徐楽章。曲の展開において不可欠な、要素。安らぎを齎し、冷静な思考、哲学的に思い耽るイメージの曲調が多く、あまり主張をしない、宿り木のような存在と思っています。ええ、はい集一です。
苛烈なところのある集一には不似合いな気もしますが、お役目ですね、結架に対しての。そう簡単に倒れるような支えであってはいけませんから。
ラルゴは、〝幅広く、緩やか〟、〝ゆっくりと〟、〝のんびり〟という速度指示です。
アッフェットゥオーゾは〝やさしく、愛おしく〟、〝愛情をこめて優しく〟、〝心を動かして〟という楽語。
第三楽章。曲を収束させる、重要度の高い部分。作品を作品たらしめる、堅人の存在。彼なしに結架の透明度の高さはありえない。
これはもう、いろいろ考えに考えて、もっと分かりやすい楽語はあったのですが、どれも捨て難く。
ヴィヴァチッシーモは、〝非常に活発に、ごく早く〟という速度指示。
ズマニオーゾは、〝怒り狂って〟、〝激情的に〟、〝荒れ狂った〟、〝逆上した〟という楽語ですが、
伊和辞典では、1.〝<…を>強く望んでいる、熱望している〟、〝<…に>憧れた〟。2.苛立っている、不安を抱いている、興奮している。3.動揺[不安、興奮]を引き起こす。
という意味が書いてあります。
つまりは、
といった感じでしょうか。
音楽用語辞典と、ポケット伊和辞典では以上のようになってます。解釈が違っているようでしたら、ご教授ください!(また甘える)
ということで、やっと三人目が明確に登場しましたので、プロローグのお話しでございました。
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