第9話 今さら変えられないのよ、ごめんね、マルゴ。

 ヨーロッパ諸国の言語は、祖語で類別できる。

 イタリア、フランス、スペイン、ポルトガルはラテン語。


 そんな知識もなかったころ。


 ある日、であると気づいて衝撃を受けました。

 身近な人間は教師も含めて誰もそんなことは言わなかったので(そんな改めて話題にする内容ではないのか)、まあ、気づいたワタシすげぇええ!

 とか、調子こきましたけど(笑)

 いえ、もしかしたら周囲の人々には常識だったのかもしれませんけど……。


 まあ、それでですね。

 つまりは昔から、自作の物語の登場人物の名前を考えるのには苦心惨憺。特に外国人名は、当時、インターネットは使っていないので。

 実在の人物の名前を国別に並べまして。

 あてはめていくようにしていました。

 CDの演奏家や指揮者の名前なんか便利なもので、最初の頃はソリストなんかは国籍も解説書に載っているものですから、本当にお世話になりました。アメリカ人ってくると、ルーツを知らなかった頃は参考にできなかったのですが、各国の人名とかアルファベットの特徴を覚えられれば(歌曲の歌詞で独学ですね)国籍で大体、選択できていきます。世界史の登場人物、王侯貴族の名前も、そりゃあ頼りになりましたね。

 ハリエット、ヘンリエッタ、アンリエット。

 ジョージ、ゲオルク、ジョルジュ。

 国によって綴り、発音が変わるのは、面白いものです。

 オーストリア皇女マリア・アントニアがフランス王妃となってマリー・アントワネットという呼称となった、なんていう例が、一番わかりやすいですかね。


 ですから、『恋慕の鎖』の楽団メンバーの名前には、著名演奏家の名前が、ごちゃ混ぜにされてます。よろしければ、詳しい方、当ててください。っていうか私自身、忘れてる方がいっぱいいますので、どうか教えてください(笑)


 前置きはここまでです。


 マルガリータのこと。

 彼女はフランス人なので、マルグリット・ド・フランソワーズというのが本名です。

 そして、本作の執筆初期において、彼女の人格的に、あまりフランス人らしくもなく(個人的なイメージです)。かといって、いくつかの設定からフランス人であることは動かし難く、「じゃあ、イタリア女性っぽく呼ばせちゃえ」と思いまして。

 マルガリータと呼ばせることにしたのです。


 んが。


 マルガリータって、スペイン読みじゃねぇーかぁー……!!!!!(⚡︎⚡︎⚡︎((((;゚Д゚)))))))⚡︎⚡︎⚡︎)


 イタリア読みなら、マルゲリータなんですよ。

 そう、ピッツァでも、ありますね。

 モッツァレラチーズ、バジル、トマトのピッツァ。

 もうね。綴りからして、マルゲリータです。絶対、マルゲリータ。


 でもねぇ……。もう、長い長いあいだ、彼女のことをマルガリータって呼んでて。

 今さら、ピッツァと同じには呼べない。

 いや、スペイン王家の支配地域だったナーポリなら、まあ、アリなのかもしれないですけど、もう、そこまで後追いして調べる気力が、今はなく。

 仕方なく、読み方の国を明示せず、曖昧にしました。

 マルガリータは、マルガリータなんだよ……。今となってはさぁ。


 そんなわけでね。

 今さら変えられないのよ。

 ごめんね、マルゴ。

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