第31話 性愛の話に苦労する(2−2)結架さんが読んだ恋愛小説とは
ええ、続きのワイルド作品の、解説です。
映画にもなっている戯曲『ウィンダミア卿夫人の扇』。
オスカー・ワイルド。
汐凪は彼を『サロメ』の作家だと思っていました。
作品を読むことなく、なんとなく避けていたような、縁がなさそうと感じていたような。
ところが、ですね。
昔、小学生の頃に図書室で読んだ短編集に収録されていた一編を、ずっと覚えていました。アメリカ人の一家がイギリスの幽霊つき城館を買い取って住むという愉快な冒頭から、その幽霊の魂を救おうとして姿を消すヴァージニアの勇敢な献身まで、ユーモラスでありドラマティックな展開が続きます。
ヴァージニアというヒロインの名前だけは、大人になるまで忘れませんでした。アメリカの州の名前と一緒だな、というのも記憶に留められた理由の一つですが。単純に、このヒロインが好きで。
でもってインターネット検索が手軽になったときに著者がワイルドと知って驚いたわけです。ついでに有名な『幸福な王子』も同じこのワイルド著作ということを同時に知って「まじか!」と叫びました。
──で。
『ウィンダミア卿夫人の扇』ですが。
未読です。すみません、私がちゃんと読んだワイルド作品は『カンタヴィルの亡霊』だけなんです‼︎ 『幸福の王子』も、絵本を読んだことがあったかどうだか分からないくらいのもので。
ただ、映画化された作品は、DVDで観ました。『理想の
ということで、以下、インターネットで仕入れた原作の概要です。
物語は、夫の浮気を疑う若く美しいウィンダミア卿夫人を中心としています。夫は浮気を否定しますが、よりによって彼女の誕生日を祝う集まりに、疑惑の女性を招待しようとするのです。そりゃ、あかんわ疑うわ。しかも、大金を渡している証拠も発見。最悪。
見つかりそうになったとき、アーリン夫人が自ら姿を現して、囮となってウィンダミア卿夫人を逃しました。やれやれ、解決。ただ、アーリン夫人は、非常識でふしだらな女性だと非難されることになってしまいました。
実はアーリン夫人、ウィンダミア卿夫人の実母だったのです。
かつて愛人と出奔したものの捨てられてしまい、元の生活と地位を取り戻そうと名前を変えて、こっそり娘の夫に援助させていたのですが、妻が傷つくことを恐れた夫は秘密にしていたため、浮気と誤解されたのでした。
そして、アーリン夫人は実母と名乗らないままウィンダミア卿夫人に別れを告げて、ウィンダミア卿とウィンダミア卿夫人に、それぞれの秘密を守るよう、約束させました。全ては、またしても評判最悪になった自分のために社交界でウィンダミア卿夫人が謗られ、辱められることを防ぐため。
そして、アーリン夫人は何もかもを打ち明けて受け入れてくれたオーガスタス卿とともにイギリスを去って行きました。どうか、幸せに。
ウィンダミア卿夫妻は、その後も互いの秘密は守り続けました。
恋愛物語として必要な、行き違いやら誤解やらが詰まっていますね。
しかし、まあ、やはり、官能的表現に露骨かというと、そんなことはない。
そういったものに詳しい書物については、次回となります。ふふふふふ♪
ただ、これ、ちょっと、オチとしては、あんまりなものかもしれません???
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