第一章11 《不愉快な噂話は突然に!》

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 おかしい……。



 期待と羨望、又は下品な雰囲気の漂う異様な教室。

 絶対に自分の置かれた現状がおかしい事に、私は否応なしに気が付かされる。



 授業が終わりクラスに帰って来るなり、私は周囲の女子のギャラリーに包囲されてしまったのだ。




「ねぇねぇ四夜さん!例の噂ってホントなの?」



「四夜さんって朝からファーと仲良さそうに登校してたけどやっぱりそうだったの?」



「やっぱり背が高い男子が好きなの?」



「ねえどうなのよ♪教えてよ!」




 ああああ……ムカつく!何なのよこいつら。

 人が授業受けて帰って来たらいきなり捕まって問答攻めって、意味わかんないんだけど!?



 私は苛立ちに頭をかきむしりたくなる衝動をやっとの気持ちで抑え付けると、胸の内のモヤモヤをそのまま言語化した。




「何なのよ、例の噂って。それにファーとか言う奴の事……知らないんだけど」




 すると私の前にいた青髪のロングの女子がこそこそと私に爆弾発言をしたのだ。




「そんなの分かり切ってる事じゃない。四夜さんと山瀬君の事よ。どうなの? あなた達のカンケイ♪」



「関係って……あいつはただの私の奴隷よ。だからか朝だってあいつを足にしてただけだもん」




 何がおかしかったのか、さっきまでウキウキ顔だった女子生徒達の表情が無理解と驚きのそれに塗り替えられて行く。




「何よあんた達。私の顔の何処がそんなに不愉快な訳?」




 一瞬……疑問には思ったがそんな事は無いはず。

 だって私は自他共に認められる圧倒的美少女だ。




 それが理由で小学生だった頃は事あるごとに愚かな男子どもからちょっかいをかけられていたし、中学生になってからも無駄な告白が無くなる事は無かった。




 一番厄介だったのはアメリカにいた時だ。

 お握り程度の頭脳しか持たない差別主義者からは、日常的に変なアプローチを受けていたし、またそいつらから私を守ろうとでも勘違いしたのか……脳ミソお花畑な連中もわんさか出てきた。




 だから私は、告白してくる量産型男子はその悉くを「あんた何か興味無い」と言って振ってきた。



 嫌がらせをしてくるIQ3にも満たない愚鈍どもにも立ち上がれなくなるまで、こてんぱんに言い返してやった。




 そう……私は一人で完結している。



 他の追随を許さない圧倒的美貌と『ある才能』に恵まれた非凡な存在なのだ。





 それなのに……青髪のロングの女子は何か物言いたげな顔をしていた。




「えっと……四夜さん?今のって冗談よね?」



「何よ、今のって」



「だってさっき……山瀬君が奴隷って」




 聞くに堪えないと判断した私は、「どいて!」と彼女らを押し退け事の発端になったであろう男の席まで行くと、こいつの耳からイヤホンを引き抜いて机を思いっきり叩いた。




 それと同時に授業開始のチャイムが鳴り響き、ガラガラというドアが開く音と共に先生も入って来る。

 だが、その程度で私は怯まない。




「起きなさい!用事があるの」

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