第一章25 《32年越しの再会はどこか寂漠と part2》

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 その後も俺と四夜はこっそり彼女……水城みずき 梓橋あずささんを観察していた。



 その間も彼女はただ自分の席に座り続け、昼食の時間になるまでそこから一歩も動こうとしない。

 その不自然さを何かに例えるならば、まるで動く事を忘れたハムスターとでも言った所か。




「さっ、購買に焼きそばパン買いに行く次いでにバンド部の部員募集のポスターを張りに行くから付いてきなさい」




 そう言うと四夜は全体的に背が小さいせいで地面に届かない足をバタバタと揺らしながら机の中身にその体を滑り込ませる。



 自分で説明しててあれだが、見てて普通に信じられない光景だ。

 誰かの嫌がらせ見たいに、四夜の体躯に反比例して周囲より些かラージな机だから出来る中国雑技団見たいな技なのかも知れない。



 だがそれでも違和感を感じずには居られないのだ。当然だろう?



 いくらなんでもそれに座らせるには四夜は小さすぎやしないかってな。




「あったあった! 今からこれを学校中の掲示板に貼って回るのよ。沢山あるから気合い入れなさい、ファー!」



「13……14……15枚!? これを全部って本気かよ! 購買にだって行かなきゃならんのだし放課後じゃダメなのか?」



「なに腑抜けた事抜かしてんの。ハッ倒すわよ! やっと部活動を正式にスタート出来るのに、初日から放課後を無為に浪費出来る訳無いじゃない。ファーがバカ過ぎて早速先が思いやられるわ」




 やれやれとでも言いたげにポスターを掴みながら、天秤の形容をその腕で表現する。




「四夜の場合、ミニチュア過ぎて掲示板に手が届かない癖に……生意気言ってくれるぜ。俺こそ先が思いやられるってもんだ」




 次の瞬間……ガツンッと言う鳴ってはいけない衝撃音が、鈍痛と同時に脳髄に響いて来やがった。



 俺は慌てて右足のすねを抑えると先制攻撃を噛まして来たロリッ子に抗議の眼差しを向ける。




「痛ったぁい!?何しやがるんだっ! 痣が出来る痛みだぞこれは!?」



「奴隷の癖に生意気な事を言うからよ。大人しく付いて来なさい」



「あ……ちょ、ちょっと待てって!?」




 俺は机の横に掛けてあった灰色の学園指定バッグを開くと、中から財布を取り出してブレザーの内ポケットに突っ込む。


 急いで四夜の後を追いかけ教室の後ろ側のドアまで走った。




「……っ?」




 その瞬間……ブレザーの裾を誰かに掴まれた気がしたんだ。



 ふとその先に視線を落とすし、細くしなやかな白い指先から辿る。

 その主はあの美少女だった。




水城みずきさん……?どうしたんですか?」




 彼女は振り向く事も無く……ただ淡々と呟く。




「私の名前……知ってるんだ……。まだ自己紹介もしてないのに」



「いやっ……違っ…!別にそう言う訳じゃないんだ」



「そう言う訳って……どう言う訳なの?」




 俺はその場から動けなかった。

 どうしてかさっぱり分からんが、彼女……水城 梓橋さんから、えもいわれぬ不思議なイメージを感じ得ずには居られなかったのだから。



 どう例えたら分かり易いか……オーラとでも言ったら良いのかも知れない。



 彼女から感じるんだ……何か、強烈な既視感を。



「山瀬さんで合ってるかな?後でそのポスター……私も読ませて貰うね」



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《後書き》


 やっと……やっとサブヒロインが登場です(^_^;)


 ちょっと引っ張り過ぎたかな?

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