第二章45 《孔明の罠》

《下らない前書き》


読者の皆様、本作を手に取り、そして読んでくださる事を心から感謝致します。

本来であればこの様な事を数少ない読者様方にお伝えする事は心苦しく、そして避けるべき事なのでしょうが、今回は意を決して皆さんに現状をお伝えする事に致しました。


ここ数ヶ月間の本作品のpv数は平均して10〜20前後。

多い日は70ほど頂けますが少ない日は0pvと、連載を続ける上で非常に厳しい現実に向き合いつつ今日まで来ました。

フォロワー数も数ヶ月前から150人前後でストップしており、変わらず厳しい状況です。


Twitterでの活動も効果は芳しく無く、毎日投稿をしようにも大学受験生としてのリアルが重く重圧としてのし掛かり現状高校生の期間での現実は体力的にも両立が不可能な物でした。


現状何とか続けていられるのは、こんな作品を読んでくださる数少ない読者様方とその反応や応援があっての事です。


受験期直前には本作品の投稿を一時ストップするつもりですが、それでも皆さんにはどうか忘れずにいて頂きたいと思ってやまないのです。


大学生になってからは週複数投稿を目指し頑張るので、どうか応援のほど宜しくお願いします_( _´ω`)_




それでは本編スタートです!


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「えっ……お、お付き合いですか!?そ……そんな、私達ここではまだ知り合って2日のはずなのに……」



 一体何をそんなに慌てふためいているのだろうか?

 俺はただ2時間ほど付き合ってくれないか、と同行を頼んでいるだけなのに。



「そんなに慌てる必要も無いだろ……。訳アリで頼みたい事があるだけ何だ」


「頼みたい事……ですか?」


「ああ。委員長も四夜が行方不明になっている事は知っているだろ?」


「え……えぇまあ」



 藤原委員長は明らかに不思議そうな目線で俺を見つめ返してくる。



「その事について何だがな、四夜探しの人手が足りないから手伝ってくれと担任の朝倉先生から言われててな。だがどうにも俺1人で何か出来るとは非自信家の俺には思えなかった。だから……」


「だから、四夜さんとも山瀬さんとも多少の面識があり、なおかつ委員長と言う肩書きから私に頼むのが最適だと判断したんですね」



 彼女はサラリと長い青髪を大胆にも、うなじの部分でヘアゴムで一纏まりに束ねると、革製の学校指定のバッグ片手にスタッと座席から立つ。

 そして……



「四夜さんの事に関しては生徒が口を挟むべきでない事かと思っていましたが、良いでしょう。そう言う事でしたら全力で山瀬さんに協力させて頂きます」


「話が早くて助かるよ」


「私とてこのクラス2-2の学級委員長です。クラスメイトのピンチとあっては何としても助けになりたいじゃないですか」



 彼女はやる気に満ちた表情で此方に向き直ると、後ろ手にヘアゴムをシュッと引き上げ、快活な表情で笑う。

 先程までのおしとやかな委員長の雰囲気は何処へやら。

 今の彼女の印象は、それまでの彼女と一新して変わっていた。



「宜しく頼むよ藤原委員長」



 そう言って俺は握手をしようと右手を彼女の前に差し出すが……



「あのですね、さっきからずっと思っていたのですけど……」



 彼女は少し表情を赤らめながら俺の手をマジマジと見つめてくる。

 何だ、マダニでも付いていたら見つめて無いで教えて欲しいのだが。



「先程の発言と言い、山瀬さんはどうしてこう……女の子なら誰彼構わずなのですか? 」


「誰彼どころか現在このクラスでの俺の人脈は、藤原委員長を含めて4人しかいないぞ。第一俺は、女の子ならだれとでも仲良く出来る程のプレイボーイでは無いし、むしろ俺のチワワのごとき小心さから言えば真逆の世界にいる存在だ。ほら、俺がそんなに魅力的に見えるか?」



 俺はそう言って、クルリとその場で一週回って見せる。


 残念ながらそこにはラノベ小説的展開でありがちな取り巻きの可愛らしい女の子の姿も無ければ、際立って友人が多いと言う訳でも無い。


 しかも数少ない友人? と言えるかもしれないその内1人は村田 翼な訳で、思い返すと何故奴が前の座席なのか、出来る事なら適切な奴に文句をつけてやりたい気分だ。

 折角ならもう少しマトモな奴が良かったとつくづく思うばかりであるのだから。


 すると彼女は思い出したかの様に静かに吹き出す。



「そうでしたね、うふふっ」



 口元を隠して、何とか笑いを堪えようとしている彼女を眺めながら



「俺の自虐的マインドはそんなにも藤原委員長のお眼鏡にかなったのか? それなら俺の精神的徒労も報われるって物だ」


「そうやって四夜さんもたぶらかしたんですか? 悪い人ですね」


「それは余りにも恐ろしい風評被害だ。遺憾砲を発射させて貰おう」



 彼女はどうやら俺の本気の抗議を、政治的センスの効いたジョークとでも勘違いしているらしい。

 コロコロと可愛らしいく笑っていた。




 俺は改めて思う。

 これだけ人の良さそうな彼女が、本当に人を殺したりするのだろうか?


 それも殺した後の亡骸の手足をピアノ線で縛り上げ、天井にくくりつけるなど、常人のする事とは到底思えない。

 今でも当時の光景を思い返すと、背筋に悪寒が走る。





 ____あれは明らかに、人殺しを楽しんでいる狂人のする事だ。





 俺は本当に、彼女をそんな事をする人間かと疑ってしまって、許されるのだろうか?

 人当たりが良く、面倒見が良くて、水城の時もそうだったが彼女は明らかに1人でポツンとしている水城を心配していた。

 おそらく四夜に関しても似たような心配をしているからこそ、つるむ事が多くなった俺にもさっきの様な勘違いをしてしまった様に思える。

 彼女が、藤原委員長が四夜を殺し続けている犯人だとは……とても思えない。


 その瞬間、俺の脳裏に水城が最後に残した言葉がよみがえる。



『本当の狂人は、表に自分の本性を現す事だけは絶対にしない。見た目や印象に騙されないで』





 俺は本当に____これで良いのだろうか?

 失敗すれば____四夜はまた恐ろしい目に合う事になるんだぞ……。





 分からない……。



「それじゃあ、迷子の四夜さんを二人で探しに行きましょうか。あては付いてるんですか?」


「恐らく……この学校の敷地内のはずだ」



 まさか、四夜の遺体が校内で発見されたからとは、口が裂けても言えない。


 ただ、1つだけ妙に引っ掛かったのは……これだけ面倒見の良い彼女が、四夜と同時に行方不明になっている筈の水城あずさ に触れなかった事だ。



 藤原委員長は常に片手に所持している学校指定の革製バッグを携えて立ち上がる。


 俺達は歩き出していた。


 いや、『俺達』は歩みを進めていたのだ。




























 少しずつ、でも確実に……。



 終わりの無い【エンドレスエイプリル】へと。


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