第一章9 《四夜イチゴとの2ショット登校は突然に!》
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それからの登校までの流れは、まるで台風一過の如しであった。
「目玉焼きにソースは嫌よ。醤油が良い」
「じゃぁそれくらい自分でやって自分で食ってくれよ!?」
つべこべ五月蝿い四夜の口に無理矢理朝ごはんを詰め込むと急いで着替えに行かせる。
俺はと言うと、四夜が着替えている間に誰の仕業か白身だけに成り下がった出来損ないの目玉焼きにソースをぶっかけて早食いし、その後は大急ぎで走って自分の部屋に行くと速攻で制服に着替え、持ち物を壁掛けから取り、登校の準備を済ませた。
「HRのチャイムまであと10分……。幾ら学校の敷地内にここが有るからと言っても流石に急がないと間に合わないな」
廊下の壁に掛けてある時計が午前8時20分を指している。
HRは8時30開始だから本当に時間が無いのだ。
「終わったわ……」
俺はこの時の四夜を見た瞬間、このロリっ子の事など忘れてさっさと登校してしまいたくなった。
「ちょっと待て、何が終わったか言ってみろ」
「パジャマを脱いだわ」
「あぁそうだな」
「靴下を履いたわ」
「よし、次は?」
「シャツを着てスカートを履いたわ」
「その調子だ、最後は?」
「寒かったから毛皮のコートを着たの」
「ブレザーはどぉうした!?教材もどうした!?何でいきなり毛皮のコートを着たんだ!順番がおかしいし、普通学校には来ていかないだろ!」
「だってもう時間が無いでしょ?そんな事も分からない何てバカね。
「バカ………。俺がバカなの?俺が間違ってたの……?」
このまま四夜とちんたら話していたら俺の常識感覚が崩壊しかねない。
「あぁああっ!?もう教材は俺が見せてやるから、さっさとブレザーとリボン付けて部屋から出てこい!」
それからの時間の流れは馬鹿見たいに早かった。
取り敢えず一通りの支度を済ませた四夜を203号室から引っ張り出して、教室塔のある高校の敷地まで桜並木に目もくれず二人でひた走る。
まだ4月も上旬だと言うのに随分と暖かいお天道様が、走る俺達に過分な汗の浪費を強いて来やがる。
お陰様で早朝からサウナ状態だ。
「四夜、もっと速く走れないのか?」
「これでもっ………走ってるわよ!何でこんなにこの学校は広いの?バカなの!」
俺は近くにたっていた中学校舎の時計を見る。
チャイムまで後5分弱だ。
四夜の走るスピードはそこまで速くない。
仕方ないと意を決した俺は四夜にある提案をする事にした。
「四夜、俺の肩に掴まれ。飛ばすぞ」
「何よ……それ」
「見て分かるだろ、おんぶだよ。このままだと絶対に間に合わない。唯一遅刻せずに済む方法は、俺が四夜を全力疾走で運ぶ事だけだ。だからほら、早く!」
そう言って俺は自分の背中を親指で指差す。
我ながら突拍子もない事を口にしていると言う自覚はあったが、これは致し方無い事なのだ。
「奴隷の背中に乗れっての!?」
「四夜は転校した次の日から遅刻で良いのかよ。俺は絶対に御免だ。乗らないと言うのなら、こっから先は四夜のスピードに合わせず俺一人でも走っていく。さぁ、どうする」
「でも………おんぶって…。私は……」
四夜のプライドとプライドが激しくせめぎ合う激闘の末、彼女は「ああ~」、「うぅ………」、「で…でもっ!」と妙に色っぽく悩んだ挙げ句
「絶対の……絶対に覚えてなさいよ!この恥は、いつか100倍にして返してやるんだからっ!」
と、負け惜しみを言いながら、羞恥に耳まで真っ赤にした四夜は、恐る恐る俺の背中にしがみついたのだった。
元はと言えば、お前のルーズ過ぎる朝が悪いんだからな。
《後日談》~~~~~~
何処が、とは言わん。
でも、四夜のちょっとした膨らみかけの『何か』が背中に当たって……。
少し興奮した////。by 山瀬 涼太
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