第一章8 《四夜イチゴのドタバタな朝は突然に!》

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 段々と分かってきた事がある。



 この俺の横で未だに立ったまま寝息を立てている少女、四夜 一期は朝の生活能力が皆無なのだ。




 あの部屋から何とかして洗面所まで四夜を引っ張り出してからと言うもの……未だに歯磨きや洗顔すら一人ではままならず、俺が自分の手に洗顔石鹸をつけて四夜の顔を洗っている始末。




「何で……俺がここまでしなきゃいかんのだ!」



「ぅぶぶぶ……ぅ」



「顔を洗ってる最中に喋るなよ……。口の中に石鹸が入っちゃうだろ」




 俺は慌てて四夜の石鹸を洗い流すと、髪の毛を石鹸が付かない様に纏めていたカチューシャを外す




「お腹空いたぁ……ご飯たべたい」



「あ~四夜、暴れるなよ。歯磨きもさせたし、洗顔もしたし、最後に髪の毛直したらご飯食べれるんだから、まだじっとしててくれよ」




 ブォオオオオオ



 俺はドライヤーで四夜の長い黒髪をひたすらに温めながら、近くに置いてあった先生の所持品と思われる木製の髪櫛でボサボサの髪の毛を解かしていく。



 これが以外と重労働だ。



 女性の髪など解かす事自体が初体験だから、と言うのも有るだろうが。



 四夜の黒髪は長いし細いので雑に扱うと今にも切れてしまいそうなのだ。



 ゆっくりと丁寧に、時には水も付けながら髪櫛で解かしていく。



 これらを全て、ドライヤー片手で行っている為に難易度はとても高い。



 コツとかも分からないし、これを男一人でやるのは流石に無理がある。



 そうだ。朝食も取り終わっている様だし、リビングでリモコン片手に寛いでいる先生に手伝って貰えば良いじゃないか。




「先生!ちょっとこれを俺一人でやるのは流石にキツいです。手伝って下さい」




 だが、返ってきた返答には血も涙も無かった。




「先生知らないわぁ~♪あんた達ねんごろ何だから二人でやったら良いじゃない」



「違げぇっつの!?誤解だって言ったでしょ!?」




 俺の必死な抗議も虚しく、浅倉先生の耳には少しも響かなかった。




「教職員会議もあるし、先生もう行かなきゃいけないのぉ~♪後は二人で、頑張って!」



「えっ!ちょ……そんなぁ」




 嘘だろ『これ』を置いていくのかよ!



 この熟睡ロリっ子を俺に全部放り投げて自分は悠々出勤とかそれでも先生かよ!?



 監督責任を取りやがれ!




「あ、因みに今のは203号室の支配者としての命令だから逆らっちゃダメよ♪それと遅刻したら成績『1』だから。じゃぁ~ねぇ~♪」




 俺はこの時、寝ぼけ眼の四夜を担いでリビングまで誘導しながら心に決めた。




 絶対にこのカースト制度の最底辺から抜け出してやる。



 そして四夜のお世話も誰かに押し付けて、俺は解放されるのだ。



 その為にも……早く入れる部活を探さなくちゃ。




「俺が……過労死する前に。」




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