バカな男たちは、愛しいぜ

 題名:男たちのうた(短編集)

 作者:武論斗

 紹介文より抜粋:

「男女平等、男女同権が世界的な定説となった昨今。


この、ごく当たり前の権利。しかし、“男”はいつの時代においても悲しい生き物。

理性的であろうと欲し、筋道・正論を語るが、その実、まだ見ぬ敵に怯え、震える。

肥大した自尊心とちっぽけな正義感とが鬩ぎ合い、夢心地の中、必死に悶える男達。


そんな悲しくも我がままな人間味溢れる滑稽な、男達の詩(短編集)をご覧下さい。


もし、貴女が気になった男性がいたとしたら、その彼の詩にお声掛け下さい。

きっと彼も、喜ぶことでしょう――



そんな――バカな男たちの物語……」


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054889069313


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 前回に引き続き、このレビュー集のために立ち上げた自主企画に参加してくださった作品からの一作です。

 現在、参加作品数が90作品近くになり、さすがに全部には目を通せていないのですが……^^こちらで取り上げたいなと思う素敵な作品をいくつか発見しましたので、少しずつ更新できたらな、と思っています。

 では、行きまっす!


 こちらは1話完結の短編集ですね。現在は三話まで読むことができますが、どの作品も面白いです。

 今まで私が取り上げてきた作品は、私の得意分野? 私の好み? といいますか、偏りが出ていたように自分では思います。それでも、「はじめに」で注意書きしたように、私の熱を発散するために勝手に書いているレビュー集ですので……いいですよね……^^

 しかしながら、今回の「男たちのうた(短編集)」は、中でも異色中の異色。だって、私にはコレ絶対書けません。だいたい、男じゃないので、ここまで読者の気持ちを動かせる作品は偽りでは難しいですよね。きっと、作者の武論斗さんのお人柄や人生経験なんかが反映されて輝いているのかな、と思います。



 今回は、一話目の「悔恨 ~ Re:g-Re:t ~」についてレビューさせていただきます。

 まずはじめに、タイトルですよね。「Re:g-Re:t」?? なんなん? ……ああ、悔恨だから「regret(リグレット)」とかけてんのね、そうは思いますよね。

 しかし、ここにもギミックがありまして、読み進めていくとわかります。

 読み進めていくと、わかるんですけど、まず、読みはじめで私は声を出して笑ったよ……。ネタバレしたくないので、あまり言いたくないのですが、主人公は歌舞伎町のホストなんですけど、源氏名のネーミングセンスが最高ですよね。

 私には絶対思いつきませんし、この愛すべきバカっぽい兄ちゃんもツボでした。


 物語の文章は、一人称で自分語りから、主人公が出会った女の子との回想を描き、最後に再び自分に着地する構成になっています。テンションでいうと、最初は一瞬で読者の心を掴みにかかってくるハイテンションから、徐々に波形で読み手に気付かれないくらいの傾斜で下降していきます。読者が、この物語の結末に着地するときには、すっかり冷静な主人公が、いま伝えたいことを語って終わるんです。

 この手法は、とっても説得力があるなと、私は感じ、メッセージがすごく刺さりました。

 ストーリーは決して明るいものではありませんが、作品の全体的な雰囲気としては決して暗くもない。この短編集の表題が「男たちのうた」となっているように、「男はかなしいことがあっても、涙なんか見せねーよ。」みたいな、男性特有の感覚といいますか、そういうものが読んでいて伝わってきます。

 先ほど、ネーミングセンスやハイテンションの語り口のお話をしましたが、それに加えてこの男性目線の作風は、やはり私には絶対に書けません。



 さて、物語の内容についての感想も少し語ってみたいと思うのですが、主人公がTwitterで出会った女の子とのエピソードが、実はとても心が痛くて、でもこういう子って今の世の中、意外と多いのかなとも思ったりしました。

 生きることに精一杯だった昔々は、生きることの価値や愛情の追求なんて考える余裕もなかっただろうし、逆に「うわーー、今日もなんとか生きた!」から始まって「あれーー、死んだ!いやーー、生きた生きたーー。」っていう感じだったんじゃないのかな、と勝手に想像する私。

 今は、食べるものにも困らないし、生き延びるための情報も簡単に手に入るし、精一杯にならなくてもなんとなく生きていくことができる……。体も思考も余白ができた分、そこが満たされない人は苦しむんだろうな、と思います。今の時代に哲学にのめり込んだら、きっとそれは自殺行為ではないかと思うのです。人が自ら死を選ぶことが選択できる世の中……尊厳死もそうですけど、身体の価値観が、時代とともに変わってきたような……。

 登場人物である女の子は、まさに現代を象徴するような病みを抱えた女の子で、主人公は、その子とのエピソードを通して一つの大きな答えに辿り着きます。


 文章や行間の取り方は、スマホでスクロールしながら、すっと読みやすいですし、それでいて決して軽すぎない熱量がちゃんと存在しています。


 その他の話も、こちらに取り上げたいくらいステキなので、ぜひ読んでいただきたいです。





 ということで、締めになりますが、私の品評!



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 レビューは★★☆Very Good!!

「自分には書けない」★★★

「心が震える」★☆☆

「なんという余韻」★☆☆


 これが私の最大の褒め言葉^^

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