少女は耽美な世界で、食べたい
題名:おりがみ
作者:すみやき(明日から休講です。)
紹介文より抜粋:
「クラスにとけ込めない。友達もいない。そんな私の唯一の楽しみはずっと好きだった『先輩』を折って、それを食べることだった。」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054893953593
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今回は、私がたまたま新着小説を漁って? いたときに発見した、まさしく一等星、私の好みの作品「おりがみ」の感想を語っていきたいと思います。
その前に、この作品とある部分において共通点をもつ他の作品についても、別章「おまけの天体観望」で後に取り上げる予定なのでよかったらそちらの感想も一緒に見ていただけると嬉しいです。
物語は、一話完結の短編で、主人公の女の子の一人称で語られ、彼女が恋する先輩についての告白が綴られています。
思春期の狭小な世界で生きる少女の、この気持ちは純愛なのか狂気なのか……。ネタバレしたくないのであまり説明はできないのですが、主人公の愛情表現がですね、すごいんですよ。これが本当に。
私は、こういう作品を書ける作者さんには間違いなく非凡の才能があると思います。こういうところまで踏み込んでいけるかどうか、さじ加減もセンスを感じます。
センスという点で付け足しますが、午後の授業を「シエスタ」と呼んだり、折り紙を折る自分を「エコでリーズナブルでファンタスティックなテロリスト」と表現したり、訛りのくだりで「おらこんな村いやだ。」が出てくるところとか、めちゃめちゃ面白いですよね。吉幾三、好きです。
ただ、先に述べておきますが、こちらはタグに「百合」「ガールズラブ」とあるように恋愛対象が同性の物語です。そして、結末の後味がなんとも……察していただくか本作をご覧になってください。その点でご注意いただきたいと思います。
タイトルや紹介文からもあるように、主人公の女の子は、中学時代に一目惚れした先輩のことを毎日想っておりがみを折ります。折ってできた『先輩』を食べることで心を満たしていくのですが、そこから耽美な世界が甘く歪んでいき……。そして、今まで一度も本物の先輩と接することすらできなかった主人公と先輩の世界が現実で重なるとき、何が起こっていくのか――。
私が堪らなく愛おしいなと感じたのは、主人公の先輩への愛情表現ですね。こんなこと言うと、私が狂人かと思われるかもしれませんが……創作の世界ではどんな表現も自由だと私は思うんです。その表現にセンスを感じるか、ダサイかどっちか。この作品の主人公は前者で、私には魅力的に映りました。
好きな人を食べたいって感覚――カニバリズムは、もちろん理解できませんが、この作品の主人公においては、自分の中を好きな人で満たしたいっていうことですよね、きっと。自分の世界の中で唯一の光みたいな存在、自分の神様、そんな先輩と一緒になりたい、ずっと先輩のことを考えて生きていきたい……大人になってそんなことを言っていたら、ただのヤバイやつで、下手したら法で裁かれることもあるかもしれません。でも、少女のイノセントな世界ではどうでしょうか。自分ルールの敷かれた世界では、この究極の愛情表現が成功してしまっていて、この作品は潔癖すぎるくらい美しいんです。
この作品は、誰もが書ける文章ではないですよね。すみやきさんの表現を真似たとしても、なかなかそこまでは辿り着けないと思います。
また、先に述べましたが、この作品同様、偏った恋愛表現が描かれた作品を別章で取り上げようと思っていますので、そちらにも少しだけ、こちらの「おりがみ」について触れさせていただこうかと思います。
ということで、締めになりますが、私の品評!
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レビューは★★★ Excellent!!!
「自分には書けない」★★★
「心が震える」★★☆
「なんという余韻」★★★
これが私の最大の褒め言葉^^
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