いつまでも、夜空で星は煌めく
同窓会を機に懐古する、もう戻れない星空の下の時間---。
二人の女の子と美しい時間を共有できました。星座や星について少し調べてみたくなる作品です^ ^
題名:天頂のベガ
作者:六番
https://kakuyomu.jp/works/16818093086497272762
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中学時代、同性の親友への恋慕に蓋をして気まずいまま疎遠になってしまった経験をもつ「私」は、彼女と再会するため同窓会に出席するが…というあらすじです。
小〜中学生の、大好きな友達に感じるあの何とも言い表し難い感情…すごく分かって懐かしく思えました。
まだ恋の経験も乏しいあの頃は、親友を独占したいとか、もっと一緒にいたいとか、逆に無性に傷つけたくなったりだとか、純粋な好意と恋愛の区別がつかず、感情も関係も曖昧だった。それと同時に少しずつ知りはじめた色々なことへの興味も膨らんで、この物語のように友達同士で接吻してみたことも、そういやあったなぁ…と、思い出しました。あれは、恋慕だったのでしょうか。うーん。
この物語は、そういう少し痛みを伴う思い出とともに、子ども時代の夏の夜の匂いや虫の音、満天の星空が煌めきがフラッシュバックするような、ノスタルジーが魅力です。
大学生になった「私」は、現在の夜空に輝く一等星を見てあの頃へ思いを馳せるのですが、ベガという星の特性や星にまつわるエピソードが、彼女との思い出と重なる表現も、素敵ですよね。
余談になりますが、夜空の星と地球の私たちとの間には果てしない距離があって、私たちが見ているこの星は、私たちの目に届いた今にはもう既に燃え尽きて消滅しているかもしれない。私たちの今は、この星の過去、というパラレルな関係もなんだか儚く切ないものです。
「私」は彼女との思い出をやり直したい、と勇んで同窓会に行ったんですよね…。
この物語では、たとえどんなに時が進んだとしても、空を見上げればあの日見た美しい星たちはいつだって煌めいてくれている。そういう希望みたいなものを感じます。だからでしょうか、決して寂しくはない、すっとする読後感でした。
ラストは、心象と郷愁の風景が巡り合い重なって、夜空でピントが合いました^ ^
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