硝子のイメージと既視感
題名:硝子少女
作者:koumoto
紹介文より抜粋:
「彼女の身体は硝子だった。彼女のこころも硝子だった。脆くて儚く傷つきやすい。硝子の彼女は恋をした。いまにも砕けそうだった。」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892987824
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生まれた子どもは硝子でした…というインパクトある設定に、読まずにはいられませんでした。
このお話を読み進めていくと、不思議な既視感があり、途中で思い出しましたが私も以前、同性愛、硝子、喪失のお話を書いたことがあって (硝子の角砂糖、私は珈琲が飲めない。という作品です^ ^) 、そのときに私が抱いた主人公への愛おしい気持ちが再燃するような感覚がまさにそれだったのです。
彼女の名前は明かされず、彼女の日常は孤独だということがわかります。それは存在自体が異質な身体的特徴が要因であるのは確かですが、果たして内面の、心はどうなんだろう。周囲は異質だと決めつけているし、彼女自身もそうであると言い聞かせているように感じて、私は切なくなりました。
彼女の心について、作者さまはきっと硝子のように脆くて砕けてしまう心、という意味合いで表現されたのかと思いますが、私は硝子は無機質で冷たいというイメージが強くて、「硝子のように無機質で血の通っていない心でいなければ、本当の自分が壊れてしまう」と彼女が葛藤しているように思えて苦しくなりました。
身も心も硝子であったなら、楽だったのかもしれないけれど、彼女は自分の心の確かな温度を知ってしまった。
多感な年頃、自分が何に属して何処へ向かっていくのか、そもそも何者なのか、その葛藤って誰しもがあったと思うし、そういう触れて欲しいような欲しくないようなところを突いてくる物語でした。
そうそう、脆くて儚いというイメージでいうなら、彼女が想いを寄せた保健委員とのやりとりがとても美しく描かれていて素敵でした。
結末も…衝撃的ではありますが、決してバッドエンドではないですよね。
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