愛しのピエロ、にゃんごろー

 題名:にゃんごろー

 作者:弐ノ舞

 紹介文より抜粋:

「お店で無造作に置かれていたぬいぐるみであるボクを買ってくれたのは、眼鏡をかけた男の人。夏の暑さも厳しい八月のことで、ボクはクーラーが効いたこの場所から離れるのを少し名残惜しく思った。」


 https://kakuyomu.jp/works/1177354054893823074


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 今回も、このレビュー集のために立ち上げた自主企画に参加してくださった作品からの一作です。


 こちらは1話完結の短編で、ちょっと毛色の違う恋愛モノです。恋愛モノ……? 恋愛モノ……。

 ネコのぬいぐるみ、にゃんごろー視点で描かれた作品で、一人称なんですが、にゃんごろーはもちろん他登場人物と掛け合いできないので、俯瞰の視点です。なので三人称みたいな不思議な視点。

 ジャンルが恋愛ということもあり、にゃんごろーは持ち主の女の子を愛しています。だけど、女の子には彼氏の眼鏡くんがいます。



 弐ノ舞さんの作品は初めて読ませていただきました。にゃんごろーの口調で文章が構成されているので、なんとも言えませんが、短い文字数で物語の展開もスマートです。

 ネーミングや言葉遣いの選び方にセンスを感じるなあと思いました。


 物語は、にゃんごろーと相思相愛?の女の人の間に、割ってくるかのように眼鏡くんが登場します。

 にゃんごろー的には眼鏡くんは恋敵。最初は害虫のごとく敵意むき出しのにゃんごろーですが……。


 一見、軽めのお話のようで、これはれっきとした失恋物語でした。

 にゃんごろーが、自分への愛を履き違えていた勘違い野郎と気づく瞬間の描写は、とても切ないです。

 女の人の愛情表現は、全て眼鏡くんへの投影だとわかって、にゃんごろーはピエロになることに決めるんです。


 私は、こういうピエロみたいな男、大好きです。ピエロじゃなくてですよ……「IT」とか「テリファー 」とかはイヤですよ。

 よくいますよね、どんなに自分が惨めでも人を喜ばすためにはしゃいだり、おちゃらけちゃうタイプの人。

 そういう人は、心で泣いてるんですよね、たぶん。

 にゃんごろーも、きっとそういうヤツかな……と。


 そういう目線で、結末からもう一度冒頭に戻って、再読してくると、そのときこそこの作品の良さが輝き出します。

 なので、この作品はぜひ二度読むことをオススメします。


 ぬいぐるみは、綿で詰めたふかふかの感触や温もり、サラサラの手触りから、抱きついたり撫でたりしたくなる代物ですよね。

 人が誰かに求める愛の投影物と捉えるなら、愛が深いほど、そのぬいぐるみはくったくたのコタコタになりますよね……。

 にゃんごろーは、ラストで自らそれと決別する宣言をするんですよね〜。


 にゃんごろーーー!!



 ということで、締めになりますが、私の品評!



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 レビューは★★☆Very Good!!

「自分には書けない」★☆☆

「心が震える」★★☆

「なんという余韻」★☆☆


 これが私の最大の褒め言葉^^

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