「と」が「の」である理由 〜私と小鳥の距離感〜
#白と青 #登場人物の距離感
#美しい文章 #浮遊感
#タイトルが伏線? #違和感
#タイトルがしっくり #私と小鳥 #色がとてもきれい
題名:白いワンピースの、青い鳥
作者:狐雪〈こゆき〉
紹介文より抜粋:
「ずっと、私にくっついてくる鳥がいる。
私の髪と同じ色をした、美しい小鳥が。
暇なのだろうか。
それとも寂しいのだろうか。
小鳥は、いつも私のそばにいた。
こちらは特にすることがなく、森や野原を歩き、
川辺の石の上で日向ぼっこをしているだけ。
ただ、小鳥が現れてからは、移動するようになった。
どこかを目指して、小鳥が導く先へ──」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892761473
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登場人物の距離感が、緩やかな曲線のように変化していく美しい作品がありましたので、ここに載せさせていただこうと思います。
「白いワンピースの、青い鳥」という作品です。
私は、この作品を一読した直後、「どうして、『白いワンピースの、青い鳥』なんだろう」と少し違和感を覚えました。違和感を覚えた理由については、内容のネタバレになるので触れませんが、とにかく青い鳥なのに、白いワンピース? となりませんか。
しかし、この違和感こそが、この物語の最大の種明かしといいますか、伏線になっているのかな、と私は思い始め、もう一度読んでみてやはり、このタイトルがピッタリだと思い至りました。
タイトルって、インパクトも大事ですが、その作品自体にどれだけしっくりくるかという点でも重要だと私は考えているので、結構、感覚で付けちゃうときもありますが、何度も何度も読み返してから決めることもあります。作品によって違うかな……。
弧雪さんの文章は、とても美しく、意味を理解せずに眺め読みするだけでも、言葉の選択や文章の流れが音色のようできれいだと私は思います。本作は、その雰囲気にあった浮遊感漂う、どこか美しい世界での出来事のようです。幽玄の世界なのか、心象風景なのか、明らかにすることなく読み手の解釈に委ねる――この点でも、すごく私の好みなんですが、その他に、最初に挙げたような登場人物の距離感が、この文体のように緩やかに流れるように変化していく様もきれいです。
あ、でも登場人物と言っていますが、正確には人物ではないのかな。少女と青い鳥ですので。
少女と青い鳥の距離が変化し始めるきっかけがありまして、少女を急かすような青い鳥を、少女が認識し、追い始める場面です。少女はどこか無気力ですが、それに反して青い鳥は躍動感に溢れており、白と青のコントラストが、二人を間の壁を際立たせているようにも思えます。
ところで、白と青の表現は、水と空にもあるように、この作品では重要な要素なんでしょうね。色がとてもきれいな物語。
話は逸れましたが、この少女と青い鳥の距離が少しずつ自然の流れの速度で近づいていくんですが、最終的にこの二つの存在がどうなるのか――それは、ぜひ読んでみていただきたいです。
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