エピローグ

エピローグ

 その世界には、ヒト型の生き物が五種類存在していた。

 一つは巨人族。その体躯は成人で三メートルを平均としており、その筋力はどの種族よりも強かった。

 一つはドワーフ族。巨人族とは対照的に低身長で、技術力に優れていた。ドワーフ族が作った道具や武器は品質も良く、世界中で利用されていた。

 一つは森族。エルフとも呼ばれ、巨人族のような強靭な肉体は持ち合わせていないが、ほとんどの個体が膨大な魔力量を生まれ持つ。その名前通り、ほとんどが森の中で自給自足の生活をしていて、緑を大切にしている種族だった。

 一つは魔族。他種族のハーフと考えられ、角があったり尻尾があったりと個体によってかなり差がある。何か特筆するような能力は無いが、ここまでで述べた三種族を平均したような身体能力を有している。

 そして最後の一つが、その他の種族の原種と考えられているヒト族だ。全ての能力で全ての種族に劣り、その他の種族に下等種族として家畜のように扱われていた。

 これは、そんな世界での物語――。






 明敏な人間が古代の痕跡に気が付いた。



”この世界は神が支配している”



 愚かな人間が叫んだ。



”世の中の不条理は、不合理は、理不尽は、全て神のせいだ”



 理を知らない人間が理想を見た。



”神を殺せば世界を平等で自由な世界に出来る”






 愚かでちっぽけな存在達は自分たちの考えを信じ、神の領域へと足を踏み入れた。

 他種族に劣り、罵られ、奴隷以下の扱いを受けていた人間たちは、全人口の半分以上を失っていた。余力などあるはずもない。しかし、今更引くことなどできなかった。

 そして人間は――。






神の領域を壊すことに成功した。

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