23.検査と修理と短期観光編

 

 港をぼんやりと眺めていたら、何やら美味しそうな匂いが鼻を掠めた。

 仕事終わりの漁師さんが食べるのか、食堂が並ぶ一角がある。 新鮮そうな丼物があれば最高なのにと考えながら通りを眺め歩くと、俺の視界に故郷を強く思い出す懐かしい物が目に飛び込んできた。


 柔らかそうな丸い形のソレに、赤みを帯びた黒いペースト状のアレ。


(…もしかしなくても、あんこ餅…!?)


 あんこ。小豆を潰した甘い餡である。そして真っ白で柔らかそうな丸い形がなんともいえない日本人のソウルフード、その名は「餅」。

 それらは屋台の隅っこに慎ましく並んでいた。


「こっ、これ!これはなんていう料理でどこから伝わったものですかっ」

「ああ?…あ、ああ…これかい?」


 思わず勢い余って屋台のおっちゃんへと問い詰めてしまった。


「最初に持ってきたのはどこの種族だったかなぁ。俺の曾爺さんが詳しいんだが…竜人族だったか山人族だったかな…。まあ、そっから伝わった郷土料理の≪アンコォチィ≫あまい菓子さ!お嬢ちゃん、一本どうだい?」

「十本くださいっ」

「まいどぉ!一本八十オーロ、十本で八百オーロな!」

「はいっ、八百オーロ!おれ、お嬢ちゃんじゃないです、男ですっ」

「へっ!?」


 驚くおっさんを横に、台へ小銅貨を八枚置いて俺はあんこ(仮)がのっかった白い餅(仮)を一本持ち上げて噛り付いた。


(…あんこもち!)


 一口含んだ甘味はまごうことなきあんこ餅のそれだった。なめらかな舌触りの甘いあんこ。そしてもちっとした感触と舌と歯を楽しませる食感、まごうことなきもち米で作られた餅だ。


(しかも≪アンコォチィ≫って明らかに日本語が訛ったような発音だな…!?)


 人族の大陸であんこ餅と出会った。これは何かの縁なのかもしれない。もしかしたら、


(俺と似たような…日本人っているんだろうか)


 物理異世界召喚、または前世地球人の記憶持ちって人がいる可能性微レ存。

 いるのなら、最近どう?どうやって暮らしてる?慣れるまで大変?っていう会話をしてみたい。それに餅が作れるということはお米があるということだ。白米!俺の日本の魂が白米を欲している。


(…いや、喜ぶのはまだ早い…似たような食材もあれば似たような料理もあるんだ…偶然作られた物なのかもしれない…はっきりした確証がなければ…ん?)


 あんこもちが売られている屋台のマークのような柄が目に止まった。特徴的なその形。あんこ餅に心を奪われすぎて気づかなかった。


「お、お兄さん!こ、これ…この模様は…」

「うん?お嬢…坊主、これが気になるかい?この料理を作った奴が考えたっていう紋様なんだと。アンコォチィって意味があるらしいぜ」


 ちょっと形がいびつだが、確かにそれは日本語で「あんこ餅」と記されていた。


(日本人…!いる…!これはいる…!決定的な証拠…!)


 真剣な顔であんこ餅を頬ばりつつ脳内拍手喝采。

 あんこ餅を咀嚼しながらおっちゃんにあれこれ根掘り葉掘り聞いた結果、


(曾爺ちゃんの代にメルカートルに来た大陸外の他種族かぁ…)


 あんこ餅を屋台のおっちゃんの曾爺ちゃんに教えたのは今から九十年以上前の話らしい。

 獣人族や人族以外はかなりの長寿種族なのだ。ワンチャン、このあんこ餅を伝えた人はまだ存命でどっかの大陸で生きているかもしれない。


(探すとなったら一苦労だろうな。見目が日本人然としているならまだしも…)


 俺自身も日本人の姿をしているわけでもない。巡り合える確率はかなり低いだろう。

 

 だが、実際に日本人が伝え残したあんこ餅がこの手にある。もしかしたらこの大陸にも同じ境遇の日本人が一人ぐらいはいるかもしれない。どこかに日本語の文章が残っている可能性だってある。

 あんこ餅を伝えた人も似た境遇の仲間がいると考え、日本語の「あんこ餅」という文字を店の印にするようにと進めたのかもしれない。


(落ち込むことはない、のんびり探せばいい。そうだな、情報とか集められるような場所があれば…やっぱ大きな街の図書館とかに行けば何かわかるかも)


 フラーウさんがいる港の方角へと戻ろうと屋台が並ぶ一角から離れる。

 歩きながら一本目のあんこもちラストひと口を咥えた時、チリンという聞き覚えのある音が聞こえてきた。


(鈴…?)


 鈴の音色だ。その音が鳴る方を見た瞬間、妙な感覚を覚えた。


 視線を動かした先に一人の女の子が立っていた。

 俺がその子を見た瞬間、女の子も俺に気が付いたのだろう。お互いの視線が磁石のようにぴたりと合ったまま動かなくなる。


(…綺麗な子だな…)


 十三歳前後だろうか、さらりとした漆黒の黒髪に薄いエメラルドグリーン色の瞳が大きく見開かれていた。

 服装はかなり独特だ。へそ丸出しのノースリーブのぴったりとした黒い服、腰には黄色の帯と赤い紐と鈴。着物のような裾の長い腰布を引っ提げるという斬新なファッションセンス。


(この感覚…なんだろ…)


 奇抜ファッションの美少女を見ていると胸の辺りがざわついた。へそ丸出しだからだろうか?


「……」

「……」


 五歩程度距離でお互いにぴたりと立ち止まった。 港の一角、俺と黒髪美少女は動かず無言で見つめ合う。


「……」

「……」


 沈黙が長い。俺の脳内では、目と目があう~の有名な曲が流れていた。

 何故だが目が離せない。それは目の前の少女もなのか、黒く長い睫毛が彩るエメラルドグリーンの瞳は真っ直ぐに俺を射貫いていた。瞬きをせずに目を見開いたままだ。眼球乾かない?大丈夫?


「……」


 ちらり。色素の薄い瞳が下へと移動したのがわかった。

 視線の先には俺の手元、葉に包まれたあんこ餅九本へと注がれている。甘味。女の子は甘味好きが多い。


「た、…たべる?」

「………」


 沈黙に耐え兼ね、思わずあんこ餅を差し出した。咄嗟の逃げである。


「……いいの?」


 幼げな声だった。俺も性別不明な声してるけど。

 黒髪の美少女は瞳をぱちりとさせ、あんこ餅、俺へと視線を交互に動かした。困惑しているのだろう。初対面かつ道端であんこ餅を勧めるという暴挙。

 俺の心配をよそに目の前の美少女の瞳はどこか輝いて見えた気がした。珍しい物を目の前にした子供のような眼だった。


「…よ、良ければ」

「………」


 駄目押しの一声をかけた時、するりと少女の白い指先が串を持ち上げ、小さな唇があんこもちに噛り付く。


「………」

「………」


 ゆっくり顎が三回上下に動き、瞳が輝いたのを俺は目撃した。さぞやあんこの甘味が口に広がっただろう。その細い顎が何度かゆっくりと動かされ、こくりと喉が鳴った数秒後に少女がポツリと呟いた。


「……甘い」


 せやな。


「…うん、甘味…あんこだから」

「アンコ…甘い…初めて食べた…」


 淡々と感情がこもらない声で目の前の美少女が言った。

 初めて。あんこ初体験だったのかなと首をかしげそうになった時、ふと気づけば両手に持っていたあんこ餅八本が消えていた。んん?


「…君を監視してる奴…一人と、いる」

「へ?」


 黒髪の美少女が俺のあんこ餅を丸ごと抱えてするりと横を通り過ぎていく。

 彼女はこちらを振り返る事もなく、大通りの人ごみへと紛れて見えなくなってしまった。


「…おれの…あんこ餅…」


 一本だけとは言ってなかったけど。普通まるごと持っていくか?


(…俺を監視…?…一人と、?)


 彼女が去り際に残した言葉、どういうことだろうか。


「あら、サクマくんってばナンパ?」

「ひぅっ!?っ、ぇ、げほっうぉえ゛っ」


 驚きすぎて咽た。


「うふふ、驚いた? 放置しちゃってごめんなさいね」

「ごほっ、い、いえ…ふ、フラーウさん…話は終わったんですか?」

「ええ、同僚でね。メルカートルの技師の子なの」


(…監視…一人って、フラーウさんってことか)


 改めて考えれば、亡命三人組の一人を街へ監視の目をつけずに放置することはしないだろうし、彼女は俺の監視役みたいなもんだろう。

 だが、あの黒髪の美少女が言ってた二匹って。


「今の黒髪の子…とっても綺麗な子だったわね」

「い、いつから見てたんですかっ」

「甘味をすすめてた所からしら?」

「…声かけてくれてもよかったんですよ…」

「邪魔するのも悪いでしょう?それに…」


 フラーウさんがさも楽しそうに笑ってらっしゃる。


「あの子、なんだかサクマくんにどこか似てたわね」

「…そうですか?」


 歳の頃合いが近いからそう見えるのではなかろうか。今の俺は黒髪でもエメラルドグリーン色の瞳もしていないし。


「顔形じゃなくって…雰囲気がなんとなくってこと」

「…はあ…そうですか…」


 その後、俺はあんこ餅を再購入した。俺だってあんこ餅を堪能したいんだよ。


 暫くすると対談が終わったフィエルさんとオネットさん、護衛役のテネル・タリー隊員、アルアクル・カセィール隊員と合流し、街を二時間練り歩いたのだった。






 ※※※※※






「フィー、安くて良いヤツあって良かったな」

「その服も似合ってるわ、オネ」

「ん、かっこいいだろ? フィーのはかわいいな。…露出系の服買わなくて良かったのか?」

「もう!そういうのは着ないって言ったじゃない!」

「ははっ、ごめんってば」


 フィエルさんとオネットさんがいちゃついてらっしゃる。

 ドアの向こうには大変に素晴らしい光景が広がっていることだろう。 俺は客室のドアの前でノック姿勢のまま二人のガールズトークを堪能してしまった。これではただの変質者である。

 ドアに両隣にいる護衛に当たっている女騎士のネーヴェ隊員とセルペンス隊員が無言の瞳もなんともいえない視線を放っていた。 はやく入れば?と目が言っている。


「…オネットさん、フィエルさん。ちょっといいですか?」


 申し訳程度にノックを三回慣らしてから声をかけた。


「おう、遠慮すんなって入ってこいよ、サクマ」

「お、お邪魔します…」


 ドアの隙間からするりと室内に入る。

 亡命三人組に割り当てられたゲストルームはとても華やかで立派な客室だった。

 ゆったりとした広さの客室には大きなテラスがあり、街と地平線に海が広がっているワイドな光景を楽しめる。

 その窓の近くに大き目なベッドが二つがあり、 片方のベッドの上にフィエルさんとオネットさんが何やら買ってきた物を広げていた。街で買い物をした二人の装いは一新され、涼しそうな服装になっている。

 オネットさんはすらりとしたボディラインが出るチャイナ服のような服装だ。 全体的に落ち着いた色合いは忍びの者っぽい。動きやすさ重視で選んだのだろう。

 一方、フィエルさんは青いケープに黒いコルセット、青と白の二段スカートというチョイス。 露出が少ないく、大きめな胸を隠す衣装に確固たる意志を感じた。


 当初、三人まとめて一緒の部屋にされそうだったのを慌てて止めたのだ。

 いい加減に俺を男として扱ってほしいという切実な主張である。 ちなみに俺の部屋は隣。


「サクマもすっかり街の子供みたいな服装ね」

「ど、どうも…」


 俺はどうやら無事に見目坊ちゃん風から脱出できたらしい。フィエルさんにベッドサイドにぽんぽんと手招きされ、おずおずと隅に腰を落ち着かせた。

 こそこそと腰のポーチから三角型の認識阻害の魔道具を取り出して起動させると、オネットさんが真面目な顔で聞いてきた。


「…どうした? 何かあったのか?」

「もしかしたら、おれに監視の目がついてるかもしれないので。…あと、対談の時の話も聞きたいです」

「ああ、街では騎士さん達がいたから話せなかったものね」

「はい。 話し声だけを遮断するようにしたので、これでドアの前にいる二人にも聞こえないと思います」


 領主との食事会の前に対談の話が聞きたかったのだ。 何か無茶難題を押し付けられていないか気になる。


「うーん、まあまあって所か」

「丁重に扱われてる、そんな感じかしら」


 オネットさんとフィエルさんの主張は二つのみ。

 オルディナ領に保護してほしい事と、ごく普通の平民暮らしができるように仕事と永住する権利がほしいという事。


「こっちの手札はドミナシオンの国家機密のナダフロス、城の見取り図、国政に携わる重要人物の秘密もろもろ。オルディナへの手土産は随分と喜ばれたよ」

「今後、私関連でドミナシオンとオルディナで内密の交渉事が始まると思うの」

「ああ…そうですね…」


 堂々と国境を強行突破してきたのだ。ドミナシオン的には聖女を返せと通達がくるのではと予想されるらしい。 だが、オルディナはそれを跳ね返す理由を作らなければならないのだという。

 オルディナ王国側からしたら亡命三人組は損か得かと考えれば、厄介事にあたるかもしれない。


「その件についてはオルディナ王国が色々と考えてくれるってさ」

「代わりに要求されたのが――オルディナ王国の第二王子の怪我を治す事だったの」

「王子様の治療、ですか」


 メルカトールの領主の話だと、オルディナ国王には三人の王子と一人の王女がいる。

 その内の一人、第二王子が数年前に大怪我を負い右手の欠損と下半身不随となったという。第二王子の怪我を祝福の治癒の力で直してほしい、それがオルディナ領からの第一の要求だった。


「…オルディナの要求はこれで最後だと思いますか」

「どうかな…。オルディナ側からしたらまだ、あたし達にやってほしいことがあるように感じた」


 オネットさんが緑色の瞳を細めた。野生の勘というべきか。


「まだはっきりとした事は言われてなくって…」


 フィエルさんがちょっと不安そうにつぶやく。 オルディナ側の要求はまだ続くのか、それとも別の事に利用したいのか。


「こんな風に丁重に扱われてる分、危険な事は要求されないとは思いますが…」


 オルディナ側として考えたら戦争の切っ掛けにもなるかもしれない「聖女様」だ。

 だが、彼女の価値を考えると計り知れない。怪我で苦しんでる身内がいるのなら彼女の手を借りたくなるだろう。


「…それに、堂々と明け透けな待遇も気になりますね。普通はもっと隠すとか穏便にしそうなものですが…」

「ああ、それについてはちょっと探りいれてみた。 ドミナシオンから逃れてきた女神の祝福持ちの聖女様をオルディナ王国は丁重に保護したっていうのを国民に認知させたいのかなって」

「知られても構わないと…?」

「昔から治癒の力を持ってる「聖女」は国民の信仰を集める対象だから」


 心のよすがみたいなものなのと、フィエルさんが苦笑した。


「祭り上げられる存在じゃないのにね」

「フィー…」


 オネットさんがフィエルさんに寄り添う。うーん、仲良し。

 フィエルさんをプロパガンダに利用しようと考えているのだろうか。

 一体何のために? 純粋に国政支持率を上げたいとかだろうか。


「…オルディナ王国へ行って話をしなければまだわからない。ということですね」

「そーなるな」


 歴史映画をもっと見とくべきだったか。 オルディナ側の狙いはどこになるのか、いまだはっきり見えてこない。と、その時、ドアをノックする音が耳に届いた。


「フィエル様、オネット様、サクマ様、宜しいでしょうか?」

「はーい…って、聞こえないか」

「サクマ、魔道具!」

「あっ、は、はいっ」


 俺は慌てて魔道具の効果を切ってポーチへと押し込めた。 喋ってもOKとばかりに親指を立てるとオネットさんがドアへと声をかける。


「はいはい、どーぞ、お入りくださ、い…」


 彼女の語尾が緩やかに小さくなっていった。

 何事かとドアへと視線を向けると、六人のメイドさん達が音もなくずらりと並んで入室してきた。なんだなんだ。


「領主様とお食事をなさる前にお三方には湯あみをして頂き、こちらで用意した衣装に着替えて頂きます」


 そう恭しく頭を下げられた。メイドさんの両手にはトレーが抱えられ、その上には煌びやかな布が見える。


「「もう昼間にお風呂入っ」」

「城下町へお出かけになったとお伺いしました。 潮の香りを身にまとったままではお食事に影響してしまいます」


 お城に来た早々、オネットさんとフィエルさんは身ぎれいに湯あみイベントをこなしていた筈だ。本日二度目の湯あみに、彼女達のテンションが一気に下がったのを肌で感じる。大変だなぁ~。


「…他人事のような顔でいるけど、お前もだからな」

「はい?」


 オネットさんがニタリと笑った。





「なんでおれも一緒のお風呂に入らなきゃいけないんですかっ!?」


 広い湯殿に俺の声が響く。 オネットさんに首根っこをつかまれ、メイド達に連れられた先にはとても立派な広い浴室があった。通常ならばウキウキ気分で広い湯船を堪能しただろう。

 女子二人が先行して浴室へ案内される寸前、オネットさんが俺の首根っこをひっつかんで湯殿へと連行された。メイドさん達も空気を読んで俺を助けてはくれない。

 じたばたと短い手足を動かすが彼女の二の腕からは逃れられなかった。


「いやですっ!一緒のお風呂には入りません!」

「お互いにもう素っ裸は見てるだろ? 遠慮すんなって」

「遠慮してません! おれ男だって言いましたよね!? フィエルさんだって嫌で、あっ、まっ、服を脱がさなっ」

「私は気にしないわよ? あ、サクマの髪、私が洗ってあげよっか!」

「おれが気にします!気にし、ちょ、ぅわあっ!」


 オネットさんとフィエルさんに俺は秒で全裸にされた。

 この体になってしまってからというもの、年若い女の子に服を脱がされるという奇妙な出来事が起こっている。 俺は一体何に分類されているというのか。この扱いは一体何故なのか。

 オネットさんのニヤニヤ面が視界の隅で見えた気がした。おい忍びの者よ、これでいいのか! 全裸で密着されたり触られるのはアウト!アウトです!


「サクマ、かゆい所はない? ふふっ、懐かしいなぁ。昔は孤児院の妹と弟と達と一緒にお風呂に入って洗いっこしたのよ」

「…………」


 数分後、俺は硬直したワンコのようにフィエルさんに洗われていた。フィエルさんが楽しげに懐かしんでいるからいいのかなと両目を全力で瞑りながら俺は思った。


「ぶはっ!サクマのその面すごい笑えるっ」

「…………」


 忍びの者は許さない。おもしろがって連れ込んだな、ゆるさん。いつかピーマンしこたま食べさせてやる。


 それから俺は無心状態で頭っから足まで丁寧に洗われた。

 風呂から上がれば二人の若いメイドさんたちに髪やら肌のケアを施されるというオマケつきで。中身は三十五歳なのである、介護プレイも甚だしい。

 もしかして、俺は未だに男と認識されていないのではなかろうか。少年だからか? 見目が十歳でちん毛も生えてないからか!?


 今後の為にもどうにかせねばと、俺は環境改善に努めようと心に誓ったのであった。






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