読まなければいけない本はもう読んだ
敢えて言い切るような形のタイトルだが、ぶっちゃけ探せばもっとあるかも知れない。
ただ、今回のは、きりがないと言うお話だ。
以前、僕がファンタジーを書いていた時、「ナルニア国物語」の話が上がった。
ファンタジーの王道を読んでいないにも拘らず、ファンタジー好きを名乗るなんて浅はかだ、と言うことらしいのだが……。
そもそも、僕はファンタジーが大大大好きでとめどない愛が溢れて執筆に向かったと言う訳ではない。
頭の中に浮かんだ構想がファンタジーの世界観で、しかも一から構築してあげないとストーリーを組み立てられないものだからハイファンタジーになっただけだ。
どっちかと言うと超能力バトルものとかが好きなので、読むと言う立場に立つならハイファンタジーは苦手な部類に入る。「読むぞー」と意気込まないと読めないので。
で、その「ナルニア国物語」云々を聞いた時に思ったのが、読まなければいけない本があまりにも多いなと言うことである。
ファンタジーと言えば「ナルニア国物語」のみではない。「ロードス島戦記」「ハリー・ポッター」「アルスラーン戦記」「十二国記」などもある。(他にもたくさんあるかも知れないが、私はよく知らない。つーか記って文字多っ⁉)
他のジャンルになると「人間失格」「羅生門」「浮雲」「ドグラ・マグラ」「蟹工船」など、勿論これだけではない。そんな有名どころを読んだだけでも晩年を迎えるし、市場調査も兼ねて何かの賞の受賞者の作品だけでも読むかとなると読み終える前に多分寿命を迎えるだろう。しかも大往生だったなあと皆に思われるくらい長寿をまっとうして。
さあ。
いつ書くの?
空行はご想像にお任せするとして、私は『とある塾講師の
本当にいつ書くのか? と言うことなのである。
かつて「これは読んでおいた方がいい!」と言われて読んだ作品で本当に良かったと思えた作品は一回だけあった。
安部公房先生の「砂の女」である。
元々は砂の描写をする為にと勧められたのだが、あのラストカットはとても人間の心をリアルに捉えており、ハッピーエンドでもバットエンドでもない何とも言えない読後感が今でも忘れられないのだ。
あの素晴らしい作品に出会えたのだから、勧められるままに読んだって良いのではないかと思えなくも無いが、それまでに引いたくじの当選確率を考えるとやるかたない。
それに僕はプロの小説家を志している。
このまま本を読まなくても小説家になれる可能性があるが、書かなくてはなれるはずもないのだ。
これは真理だ。
僕はいまだかつて、小説を一作も書いていないのに受賞して本が売れた、と言う話を聞いた事が無い。(言っておいてなんだが、なんかそれはそれで面白そうなのでショートショートで書けないか考えてみたいと思う)
なので、今は読むよりも書くことに重きを置きたいのだ。
これは完全に自論だが、出会わなければいけない本はいつの間にか読んでいるのではないかと思う。
本だけではない。
創作物であれば、アニメやゲームもそうだ。
以下に僕が生きて行くうえで、出会わなければ死んでいたかも知れない作品を上げる。
小説部門
・ブギーポップは笑わない(ブギーポップシリーズ)『上遠野浩平』
マンガ部門
・王ドロボウJING 『熊倉裕一』
ゲーム部門
・ワイルドアームズ2nd 『ソニー・コンピュータエンタテインメント』
・ブレスオブファイアⅤ 『CAPCOM』
・吸血殲鬼ヴェドゴニア 『ニトロプラス』(PCゲーム)
アニメ部門
・無限のリヴァイアス 『サンライズ』
音楽部門
・ハルジオン 『BUMP OF CHICKEN』
・(please)forgive 『BUMP OF CHICKEN』
以上。
すっくな!
つーか小説1作品に対してゲーム3作品ってお前なんで小説家目指してんの⁉
勿論、面白い作品や自分に影響を与えた作品はこれよりも多くある。
ただ、出会わなければ小説家を目指していないだろう、或いは死んでいただろうと思えるものはこの程度しかない。
上記の作品群は、全て能動的に見よう、読もう、やろう、聴こうと思ったものばかりで、人から勧められたものはない。
人間を形作っているものなんてーのは、このくらいなのかも知れない。
逆に、たくさん見たり聴いたり読んだりやったりした人間が高尚な人間になり、創作家として素晴らしい人になれるなら、いつでも作品見放題の引きこもりニートが最強と言うことになる。
人は、リアルから得る知識の方が圧倒的に多いのだ。
何せそこには痛みや疲れや憂鬱がある。それはサブカルから得られるはずのない情報のはずだ。
痛がる為にアニメを見たり、疲れる為に音楽を聴いたり、憂鬱になる為にマンガを読んだりしないだろう。
皆そこから離れられるものを書いているのだから。
なら、書く人間が味わうべきは良作から得る感動ではなく、現実から得る苦悩と苦痛のはずだ。
それを知ってこそ、初めて作品が出来上がるのだから。
さてどうだろう。
僕が読まなければいけない本は、もうないんじゃあないか?
或いは、僕こそが自分に読ませなければいけない本をこれから書いていくんじゃあないか?
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