『拙作』問題
はい。今ちょっと問題になってるこれです。
すぐに収束すると思いますけどね。
実は、僕は自分では『拙作』を使わない派だったりする。
だからと言って『拙作』と言う人に向かって「拙いなんて言うなよ」って食って掛かる気は毛頭ない。私自身がズレてるってのはもう完璧に理解している。
いわゆる、常識ってのはわかってる。拙作って表現は、
そう、わかっちゃいる。でも使わない。
これがなんでなのかって話をしていく。
まず『拙作』以外に遜る言葉ってなんかあるかなって考えたとき、同じ『拙い』が入る『拙者』が出てきて、そのあと『愚妻』『愚息』の類が出てくる。
いま言った三つは全部遜りの意味なので、別に本当に「愚かしい妻だ」と思っているわけではない。あくまでも日本の常識と言うかマナーと言うか、昔から使われてきた言葉なのでまったく違和感などない。
普通は。
そこに違和感を抱いてしまう生き辛い僕です。
——ここからは『一般常識』からはかけ離れた個人的な価値観のみで話すので、そう言うのに興味がない人はいまからでも遅くないのでブラバしてください。
考えても見てほしいのは、どうして身内を言うときに『愚か』という言葉を使えるのか。当たり前すぎて考えたこともないって人の方が常識人なのでここは誇っていいんだけど、僕は考えちゃうダメな人間なのでくだくだと考えてしまう。
結局身内には自分の所有物と言う感覚があるからなのかなーって思う。これは誰が悪いとか言うんじゃなくて、そう言う文化でいままでやってきたんだからこう考えるのは必然だし仕方のないことだと思う。
じゃあ僕は家族のことをどう思っているかと言うと、まったくもって別の存在だと認識している。そりゃ一緒に暮らしてきたから距離感は他人とは全然違うけど。
父も母も身内だけど、結局別の個体という認識が働くし、別々の人生を送るべきという頭で居る。なんてーのか、お父さんもお母さんもただの呼称に過ぎなくて、所有物感覚はない。甘えみたいなものもなくて、体を壊したり金が必要になっても絶対に頼らない。大人になってまで親から施しを受けるくらいなら死んだ方がマシだと思っている。だからうちにはオレオレ詐欺(お母さん助けて詐欺?)に引っ掛からない。
一人の人間として尊重していれば、身内みたいな感覚にはなれないわけで。これが結びついてなのか『愚父』とも『愚母』とも言ったことはない。
おんなじ理由で『愚妻』とも言わない。これがビジネスシーンで一番選択すべき言葉であったとしても、だ。
これは別に「僕は常識に囚われていなくて凄いでしょ」って格好を付けたいわけじゃあない。どう考えてもビジネスシーンで選択すべき言葉を選択できていない僕は負け組だし、世間知らずで恥知らずな奴だと思う。
まあそういうわけで、いろいろ理由を述べたけれども、僕は身内を他人に紹介するときに遜らないのだ。(マナー的によろしくないというのはわかっていながら)
そしてマナー的にはするべきと言うのはわかっているので、みんなが「愚妻が」とか「愚息が」と言っていても全然いい。寧ろみんな偉いなって思う。
そう言うわけで、『拙作』も同じ位置づけになってくる。
僕は自分の作品は身内ではあるけれども、立派に自立した一つの個体だとも思っていて、尊敬している部分がある。
だから『拙作』とは言わない。けれどもマナー的には『拙作』と呼ぶ方が正しいので、そう呼んでいる人を見ても別に
最終的には、別に僕だって「『拙作』って言うなよ」とは言わんから、『拙作肯定派』の人たちも「『拙作』って言え」と言ってこないでほしい。と言うことになる。
創作家にとっては否定をすることもしないことも、肯定をすることもしないことも重要だ。
なにかを否定をすることで書けるものもあるけれど、しないことで得るものもある。
なにかを肯定することで得られる賛同もあるけれど、しないことで失わずに済むものもある。
そのように思う。
だから別に否定と肯定の是非はどれが正しいとは言わない。あらゆる考え方が許されて欲しい。
けれど否定するにしろ肯定するにしろ頭ごなしに意見を聞かず無視を決め込むのはやめてほしい。創作の一番の敵は無関心であると思うからだ。
一つの事象に対して心穏やかに、自分がどう思っているのかと言うのを考えてみるべきだ。人の意見に同調するのではなく、自分の意見に向き合って欲しい。
だから最後にこれだけは誤解しないでほしいのは、僕は僕がどう考えているのかに対して自分が向き合うために考えて見ただけなので、これが正しいということでは断じてない。
このエッセイを読んだからと言って自分の意見を曲げないでほしいと切に願う。
ん? これってつまり、くだくだし語りまくったけど、別に誰がなんて言おうが別にいーじゃんってだけのことなんじゃ……?
——と言う話でした!
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