web小説家には向いていないと言われて

 2017年の冬に確か、このカクヨムに登録させて頂いたことを覚えている。

 2019年の夏に今このエッセイを書くまでに、実に様々な作品を書いてきた。現代ドラマ、ハイファンタジー、ラブコメ、異世界転生もの、ミステリー、ショートショート……。確かにこれだけ書いている割には、お客様の増え方はゆっくりだ。跳ねることはなかった。だが今でもまだ書いているというのは、本当に喜ばしいことだ。


 カクヨムに初めて投稿したときに、いまいちPVやら☆やらの意味が解っておらず、不思議な現象が起きたことに気付くのも遅かった。

 その不思議な現象と言うのはPVの変動が無いのに☆が3つも増えた事である。


 あとで気付いて、私は読みもしないで☆を付ける方に、画面越しに憤慨したものだが、隣でそれを見ていた嫁はこう言った。


「あなた、web小説家には向いてないわ」


 彼女は語る。


「☆を付けられたら☆を付け返しに行けばいいの。それで読みもせずに最後の話の応援コメントに適当に感想を書けばいいのよ」

「読んでないのにどうやって感想書くのさ」

「どんな作品にも通用するような一文よ。例えば、描写が素晴らしく引き込まれました。とか、とても感動しました。とか」


 そんな馬鹿な。


 人の作品を読みもせずに感想を書く? ☆を付ける?

 ふざけるな! 作家である前に人としての品格が無さ過ぎる!


「自分なりのやり方でやるよ」


 それから時は経ち、私の作品を見もせずに☆を置いて行った方はプロデビューを果たした。やりきれない気持ちは、隠すことは出来なかった。

 その人の作品はそうなるに値する良さがあったのだろう、その人は間違いなく実力でデビューしたのだろう。だが、だが、だが……!


「未来がお亡くなりになりました」


 と、amazarashiの「ミサイル」の一文が思い浮かんで、口ずさんでいた。


 それでも僕は愚直に書いてきた。

 読むときも、誠実に読んできた。

 時間は掛かる。☆をばら撒いている方がよほど効率的だ。ランキング上位に行く事も、☆の返礼があれば容易だろう。ランキング上位に行けばたくさんの人の目に触れて、読者も増えるだろう。


 でも、そんな打算で小説と関わり合いたくない。

 失礼だ。

 小説を書く人に対して、

 小説を読む人に対して、

 小説を愛す人に対して、

 小説そのものに対して、

 失礼だ。


 僕は☆をばら撒く人のことを否定はしない。

 けれども、僕は誠実であるとを主張したい。


 嗚呼、確かに、君の言う通りだ。僕はweb小説家には向いていない。

 だって今、無秩序に☆をばら撒く人全員を敵に回しただろう?


 それでも僕は死なないし、書き続けるから、負けてない。

 この、


 そうしてプロデビューした時に、


「誠実にやってきたんだから! 当たり前だ!」


 と言いたい。



 そう言う訳で、これからもよろしくお願いします。


(僕と現状関わり合いのある人で、無秩序に☆をばら撒く人が居ないことを知った上で発言するあたり、攻めきれないというか、臆病者なんだよなあ)

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