恐怖、ブリーフ保存の法則!
急遽、金を払った払わないの話は中止となり、天才オッペンハイマー君による、ブリーフ保存の法則についてのレクチャーが行われる事となった。
ハーバード、イェール、マサチューセッツなど、数々の名門大学を作り上げたアメリカの人間ですら、誰一人として聞いた事がない物理法則である。
「本当にそんなもの存在するのか?」と内心疑いの目でオッペンハイマー君を見るアメリカの人々。しかし、「じゃあ、金払えよ」と言われたら、何も言い返せないので表面上はニコニコしている。絶えず笑顔、オープンな国民性もアメリカの魅力の一つなのだ。
そして偽りの笑顔に見守られ、オッペンハイマー君は口を開いた。
ブリーフ保存の法則。
それは、巨大なブリーフができたが故に起こった悲劇の物理法則であった。
チチンコ族がいる巨人のブリーフの上は伸縮するゴムの素材で出来ている為、絶えず伸びたり縮んだりを繰り返しているのだ。
しかし、もしブリーフのゴムが伸びてしまった場合、その上に立っているチチンコ族の人々もメイド喫茶も、伸びたゴムの隙間から落下し、ブリーフの内側にようこそと落下してしまう。
それ防ぐためにブリーフの上では、ゴムが伸びても縮んでも絶えず空間を一定に保とうとするエネルギーが発生する。そのエネルギーがある為、メイド喫茶は絶えず、この巨人のブリーフの上に建っていられるのである。
しかし、その反動として空間が一定の大きさに保たれるのと引き換えに、巨人のブリーフの上では時間の流れが速くなったり、遅くなったりと変化するのだ。
「これがブリーフ保存の法則です」
オッペンハイマー君は黒板にに種類のブリーフの絵を描いて説明を終えた。一つは普通の状態のブリーフ。そして、もう一つは……ゴムがパッツンパッツンに伸びた、今にもはち切れそうなブリーフの絵だ。
ご丁寧にパッツンパッツンの方のブリーフさんには、今にも爆発しそうで苦しそうな表情をしているブリーフ君のイラストまで描かれている。
「つまり、巨人のブリーフが伸びている間、ブリーフの上の時間の流れがゆっくりになっているという事か?」
大統領が代表して尋ねた。
そして、市長が代表して頷いた。
そして、オッペンハイマー君が代表して説明を続けた。
「おそらくそうです。だから、ここの時間はまだ1945年なんだと思います」
そして、これは普通のブリーフの上でも起きているかもしれないが、布面積が小さ過ぎると、その効果は微小になるから人間では感じる事ができない。という。
大統領は改めて、美人なメイドさん達を見た。
この女の人らも、80年後にはあんなババァになってしまうというのか。時の流れとは恐ろしいものだ。
「アナタ達、外の世界でアイツらに会ったんですか?」
一部始終を聞いていたメイドさんの一人が驚いた顔をして、話に参加して来た。
アメリカ人の一人が「これです」と言ってスマホに撮った、乳に座って空を飛んでいるチチンコ族の写真を見せると、メイド達は驚いた顔を見せた。
「アイツら、こんな変わり果てた姿になっちゃって……この村を旅立ったのはつい一年前なのに」
そう言って、メイドさんは涙を流し始めた。
つい一年?
聞けば、今では老けて垂れ乳で空を爆走している彼女達も、つい数ヶ月前まではここにいる美女達と同じ若い姿をしていたと言う。
ブリーフの上ではたった一年の間に、外の世界では80年の月日が流れていたのだ。
メイドさんが言うには『彼女達は外の世界に出て、違う景色が見たくなった』のだと言う。
そう憂いた表情で言ってきた彼女達に、メイドさん達は『そんなのは止めておけ』と止めたそうだ。更にメイドさん達は、彼女達に『ブリーフに残って、むしろもっと内側を見るべきだ』と説得したと言う。
ブリーフの内側にあるもの……それを聞いていたアメリカ人達は、彼女達の体から滲み出ている女性ホルモンの後光を見たという。
何があるかはハッキリと自覚はしていないだろう。しかし、メイドらは本能的にブリーフの内側にある「大事なもの」を嗅ぎつけ、そして「それを見ろ」とDNAから指令が飛んできていたのだ。
これを聞いたアメリカの男達は女性の体に流れる「野生」に圧倒されそうになった。
もう、女性の話に釘付けである。
その後、ブリーフの上では『村を旅立ち、外の世界が見たい人』と『村に留まり、もっともっとブリーフの内側を見たい人』の二チームに分かれて討論が開かれた。
そのメイドの話を聞いて、「頑張れ! 頑張れ!」ともう遥か昔に終わった出来事に、話を聞いているアメリカ国民は『もっとブリーフの内側を見たい人チーム』にエールを送った。
しかし、現実は虚しく、メイドさん達の静止を振り切り、あの彼女達はブリーフから飛び立って、外の世界を見に行ったのだ。
その日以来、巨人の体の上を彷徨い、脇毛に村を作って住む様になったのだと言う。
それを聞いたアメリカ国民は「ファあああっっく」と地面や壁を叩いて悔しさを露わにした。
旅立たずに彼女達に出会っていたら、きっと違う形の出会いになっていた事だろう。
「そうだったのか」
大統領はチチンコ族の意外な過去に驚いた。
「実は、我々は彼女達を連れ戻す為にこのブリーフ山を登っていたんです」
大統領の発言にメイド達は「えっ!」と言う顔を見せた。
大統領は内心で「よし」とほくそ笑んだ。
「実はつい先日まで、我々は彼女達と共存して生きていました。しかし、彼女達は悪い奴らに騙されしまい、敵国へと連れて行かれ、今では我々の敵になっています。
我々はそんな騙されている彼女達を救うために、この山を登っているんです」
メイド達がザワザワし始めた。
もう、誰も食い逃げのことを追求して来なくなった。
「もし宜しければ、我々に協力していただけませんでしょうか? 彼女達を助けると思って」
大統領はメイド達に頭を下げた。
「そうだったの……」
メイド達はしばらく話し合った。「でも、アイツら、食い逃げしたんですよ!」と反論している市長の声が聞こえてきた。黙れ、お前。
そして話し合いの輪が解かれ、メイドの一人が代表して、大統領の方へ歩いてきた。
「わかったわ。彼女達を助ける為に協力します」
ひゃーっ!
アメリカに歓声が響き割った。
「よろしくお願いします」とメイド代表として市長が大統領に握手を求めてきた。大統領は小さく舌打ちした。
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