第6話 反花山勢力
アメリカは胸毛爆撃用戦闘機『Oh! HANAYAMA』をわずか数日で作り上げた。
鬼のようなスケジュールと、アメリカの技術をほぼ無理矢理詰め込んでしまい、税金の七割が持って行かれたが関係ない。
「また、無駄遣いして!」と、花山に叱ってもらえるではないか。
それが右乳首のベースキャンプに運ばれ、いよいよ、翌日には爆撃が開始されることとなったのだ。
「大統領!」
「ほえ?」
しかし、その頃、ホワイトハウスにいた大統領はトロンとした目で、その部下の報告を受けた。
「なんですか、その真っ赤な顔は」
熱を測ると大統領だというのに、37度7分もあるではないか。
「なにをいうか、平熱だ」
大統領はそう行って、瓶に入った錠剤を口の中にラムネのように押し込んだ。それは、日本から大量に輸入した『早めのパブロン』であった。
花山さん以来、アメリカの大統領はジャパニーズ母性本能にはまっていた。それは、日本のOLが海外ドラマにはまっている感覚に似た、割とライトなノリであった。
大統領は「母性本能といえば風邪薬だ」と、占い師から情報を聞きつけ、日本から勝手に大量の風邪薬を輸入したのであった。
そのせいで、日本の製薬会社の株価は一気に跳ね上がった。そして、日本にも風邪薬ブームがやってきた。
そのため、日本の病気会社は「病気ガチャ」という薬を使うための病気を作った。Sレアの病気を引いた猛者は、1000万ほどガチャにつぎ込んで、病気で死んでしまいましたとさ。
「で、なんだ?」
そんなことはアメリカの大統領には関係ない。あくまでも母性本能が欲しいのだ。
「胸毛爆撃機は無事、乳首に到着しました」
「ほう、ついにか」
大統領はそれを聞いて安心した。明日には胸毛を爆撃して、焼け野原にできる。それで、花山さんの悲願が達成される。
そしたら、ホワイトハウスに呼んで……頭を撫でてもらう。
「しかし、問題が」
と、部下の秘書は大統領にある写真を持ってきた。それは、巨人の胸毛を写した航空写真であった。
いい胸毛だ、惚れ惚れする。これ見よがしに、ビーチで見せびらかしてやりたいぜ。と大統領は思った。
「これがどうかした?」
「一部を拡大したのが、こちらです」
と、別の写真をもらう。
「べっ!」
口から、錠剤が飛び出した。一箇所を見ると、なんと胸毛を剃るのに反対していた奴らのデモが胸毛の周りを取り囲んでいるではないか!
「明日、爆撃だってのは、ちゃんと知らせたはずだぞ」
「これを見てください」
秘書はさらに新聞を大統領に見せた。
そこには、ドイツとイタリアが「胸毛剃り反対を支持する」と、表明したと書いてある。
「アイツらぁぁぁあっぁぁぁぁっぁ! 裏切りやがったなぁぁぁぁ」
もともと、デモの中心であったドイツとイタリア、選挙を有利にするため、女性票を手に入れようと思えば当然の結果だったのかもしれない。
この二カ国が中心となり、スペイン、ポルトガル、欧州の各国は「胸毛は剃らない」派が支持率を増やしているということだ。
「会議だ、会議だ!」
アメリカは急いで部屋を出て行った。
えらいこっちゃ、えらいこっちゃ。
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