第5話 胸毛会議

 胸毛をどうするかで、また会議が開かれた。が、大勢は決まっていた。


「花山がKEWOSOREと言うなら、そうしなければならない」


 すでにアメリカの大統領は、花山さんの母性本能なしには立つことさえママならない状態であった。


「胸毛は剃る! 断固として剃る!」


 おお! そうだ!


 他の国の花山さんのファンの国もこれに賛同した。


 花山さんに叱られたい。

 花山さんの握ったおにぎりが食べたい。

 花山さんが縫った体操袋を蹴って家に帰りたい。


 巨人の胸毛は剃る方向であっという間に議会は解散した。


 すぐにアメリカは調査のための軍隊を巨人の胸毛に派遣する。右乳首にベースキャンプを設置。

 そこから胸毛地帯へと向かう計画が練られた。


 が、問題が発生した。


「スッゲェ、ぶっといっす」


 調査から帰ってきた兵隊たちは、巨人の胸毛のぶっとさに顔がこわばっていた。


「これが毛なの?」


 調査団が現地に着くと、天に昇るように生えている巨人の胸毛を見上げて、自分の胸を見比べた。


 悔しい。負けた。


 ダンディーを自慢に力こぶに女をぶら下げて「キャーキャー」言わしてた系の軍人はその胸毛を見て、自信を失った。


「もう、毛じゃなくて……木ですよ。ありゃ」


 あまりのショックに上官への報告がタメ口になった。


 その後、詳しいデータが入ると、胸毛の一本一本は、例えるなら日本の屋久島にそびえる天然記念物、屋久杉を彷彿とさせるご立派さであった。

 しかもそれが一本ではない、北海道並みにある巨人の胸にびっしりと生え揃っているのだ。


「どうやって、これを剃るんだ?」


 アメリカ軍の報告は、もちろん花山さんにも伝えられた。


「剃ってください」


 返事はいたって簡潔であった。


 ブレない。

 だが、このブレないのがいい。


 アメリカをはじめとする各国の大統領は、この映像を見て震えた。


 嗚呼、「食べるまで、遊んじゃいけません!」と叱る花山の前で大嫌いなピーマンと睨めっこをしたい。


 これぞ、男のロマン。


 だが、現実問題、どうする? あんな胸毛、斬ってたら永遠に終わらんぞ。しかも、巨人は毛深いため、生えるのも早いらしい。


「爆撃するしかないだろ」


 アメリカが言った。


 こうして、胸毛を爆撃で焼き払う作戦がアメリカ主体で行われる事となった。

 








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