生まれ変わったワタシ
翌日。
市長、大統領たちによる大改革によって、午前十一時ぐらいで右乳首市は世界最大の経済都市にまでのし上がった。
市役所の始業が午前九時だったので、わずか二時間での快挙に世界も色めき立ったのは言うまでもない。
まず、チチンコ族から教わった塩作りに着手。ぶっちゃけ舐めてもいたって普通の塩だったが、
『きょっ! じっ! んの! 塩!』とCMをうって世界に販売してみたら、これがバカ受け。
話題の巨人の体から取れたという希少性と流行によって、あっという間に世界を席巻!
十時ぐらいで、世界中から7兆円分ぐらいの注文が入った。
同時並行で、右乳首市を基点に、チチンコ族の脇の下、そして胸毛を高速で移動するためにダンゴムシ鉄道の運行にも着手した。
しかし、線路を引くお金のない右乳首市はここで壁にぶつかった。これが、九時二十分くらい。
が、とある役員が元プロ野球選手、桑田真澄の自伝を読んでいたため、『桑田ロード理論』がここに適用され、道はダンゴムシたちが自ら作るということで落ち着いた。(わからない人は桑田ロードでググってね)
十時ぐらいには、右脇の下駅、右乳首市駅、胸毛駅を結ぶ、三駅の鉄道が開通した。
さらにこの鉄道のダンゴムシにはもう一つの役割があった。ダンゴムシの食料である巨人の体毛、胸毛の収穫と、世界中に売り出すための資材としての胸毛の調達である。
胸毛駅に市民を移動させたダンゴムシは、そのまま胸毛で休息し、餌と資材の胸毛を右乳首市に持って帰ってくるのだ。
このローテーションはうまくいき、十分に一本のペースでダンゴムシ鉄道のダイヤは運行されることになった。
途中、観光名所として、市長と役員がプロレスをしているのを眺められる場所があるが、ダンゴムシが速すぎて、目視は至難の技だと判明し、すぐにやめた。よって、観光名所は何もない。
そして、待ちに待った巨人の体毛である。この石油を超える金のなる木こそ、右乳首市を二時間で世界一の経済都市にまで押し上げた原動力だ。
「わお! わお!」
世界中の建築会社や家具会社は、丈夫でありながら、弾力性を持つこの不思議な素材を見て、社員全員がヨダレを垂らした。
十時二十分くらいに、世界中の建築会社のビルが水浸しになってしまった。近隣の会社から「ヨダレ臭い」という通報が入ったが、そのヨダレで咲いた花だってある。警察は手動しなかった。
この画期的な素材を見た世界中の材木屋も「降参さ」と白旗を上げ、十時三十分までに全部の材木屋が潰れてしまった。
ここから、木造よりも毛造こそが建物の常識に変わったのだ。
しかもこの素材、翌日にはもう生えるという奇跡の素材である。まさに石油以上に金のなる木。
あっという間に世界中から注文が来て、700000兆万円くらいを売り上げた。具体的な値段なんてどうでもよかった。
とにかくバカのように売れたのだ。
ヒャッホーイ!
右乳首市はお祭り騒ぎになった、昨日まで千円もなかった全財産があっという間に、世界一のお金持ちである。
もう、街は飲めや歌えの馬鹿騒ぎ、そして「俺のだ!」「いや、俺だ!」とすでに金の持ち主をめぐっての殴り合いだ。最後は市長が止めに入り、市民全員で円になってみんなでキスをするという儀式で1日は終わった。
とにかく、たった1日で右乳首市は世界一の金持ち国家になったのでした。
しかも、明日もお金持ち、明後日もお金持ちなのだ。
こうなると、今度は市民の数が足りない。
「大統領!」
その声に大統領が振り返った。
「! お前たち!」
振り返ると、そこには大統領がアメリカを潰した後、世界を彷徨っていた元アメリカ国民だった人々、一億人ぐらいがいた。
さすがに一億人いたので、大統領も「おわっ!」と驚いた声を出した。
「どうしたんだ、一体!」
そういうと、先頭に立っていた男から後ろに一斉に、元アメリカ国民たちは土下座を始めた。
「ここで、暮らさせてくれ!」
元アメリカ国民が言った。
しかし、大統領は首を横に振った。
「もう、俺は大統領じゃない。ここは俺の街ではないんだ」
「俺たちは、あんたの元で国民がしてぇんだ!」
この言葉が大統領の心に刺さった。
「もう一度、あんたの元で国民の修行をさせてくれ!」
そう言って、元アメリカ国民はまた土下座をした。
なんという感動的な姿が、大統領に憧れ、大統領に投票し、「いつか、俺も大統領になってやる」と国民としての修行を積んでいたアメリカでの日々。
アメリカがなくなった後でも、大統領の国民であったのだ。
「俺の国民は厳しいぞ。それでもいいのか?」
大統領が聞くと、元国民の代表はふっと笑った。
「どんな修行でも耐えてやるよ。それで、今度こそ俺たちは、世界一のお利口さんにまでのし上ってやる!」
「よし!」
その言葉で大統領も決心した。
金を手に入れた右乳首市に頼もしい味方、元アメリカ国民一億人がやってきた。これによって、右乳首市は物理的な大きさも巨大化を始めたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます