男 VS 女! 怒涛の胸毛編
第4話 花山さんのこだわり
巨人は砂漠のど真ん中に連れてこられた。さぁ、手術のおっぱじめだ! と、思いきや。
「体毛を剃ってください」
現地のホテルに入った財前教授と花山さん。本場のカレー茶を飲みながら花山さんが言った。
「体毛があっては手術できません。全部、剃ってください」
「しかしっ!」
関係者は食い下がる。巨人は今にもお腹が痛くて挫けそうだ。そんな体毛などっ!
「体毛をなめるな!」
花山さんが起こった。百戦錬磨の現場での経験が巨人の体に縮毛一本たりとも存在することを許さないのである。
毛がメスに絡まる。毛が手に絡まる。毛が毛に絡まる。そして静電気が起きる。「オウチ!」と作業員が手を痛がる。手術失敗。
たった一本の毛のせいで命を落とした人もいたのかもしれない。バタフライエフェクトである。
花山さんは言った。
「体毛を剃らないなら、やりません」
財前教授は言った。
「彼女がやらないなら、私もやりません」
そう言って二人は、インドの伝統的な遊び、カレーすごろくに興じた。
『KEWOSORE!』
この和製英語は『KAROSHI』『OTAKU』などと一緒に世界中を席巻した。
『花山はミラクルだ! 手術を知っている』
『いや、迷走だ! ジャパニーズにゲルマンダンディを否定された気分だぜ!」
『さすがチョンマゲの国! お眉毛も整えるべきだわ!』
この花山の意見に大きな異を唱えたのが、当然、ゲルマンからラテンにかけての女どもだった。
特にイタリア女たちの反発は凄かった。
「巨人のセクシー奪う権利なんて、誰にもない。胸毛を剃るくらいなら死んだほうがマシに決まっている!」
もともとわき毛を剃らな部族にあって、ゲルマンの女の怒りはスグにデモへと繋がった。
これに乗じて、『巨人の毛は生えているんじゃない。咲いているんだ』と、世界中のバンドマンたちが『毛を剃るな!』と政府に対抗心をむき出しにしてきた。
世界中の日本大使館の前には、女たちの群れが出来上がった。
胸毛、汗臭い匂い、そしてスケべ。
その三つが揃った時、男はダンディーへと変身するのよ。ジャパニーズにはそれがわからないのね! って感じの花山さんをパロったアメコミが流行った。
それでも、花山さんはブレなかった。
「毛を剃らないと手術はしません」
動かざること山の如し、可憐に咲くこと花の如し。日本の肝っ玉おっかさん、花山さんの男性ファンは徐々に増えていく。
そして、政治は男社会。
胸毛は剃る方向で、話は進んでいった。
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