おまけ 頬ずり峠
一方、その頃、左乳首では。
清潔派の敵、『胸毛を守る会』は解散した。解散の儀式として、最後に会員全員で、タンポポの綿毛をフーッと吹いて、それを追いかけるという、とても気持ち悪い催しが行われた。最後まで人々をベタつかせて迷惑をかける輩である。
最後にお父さんが
「綿毛が飛んでいった方向が、皆さんの明日です」
という、OL特有の一見深いことを言ってそうで何にも考えてない言葉で儀式は閉められた。
もちろん、ネットでその時の動画が流され、拡散され、世界中からバカにされたという。
綿毛がうんこの上に着地して、「お前の明日、それだからなw」とバカにされている人は、ちょっと可哀想だった。可哀想だけど、テメェらが勝手に決めた明日なんだから、給食は残さず食べなきゃいけないように、明日からちゃんとウンコを目指してもらいたい。
そんなこんなで、左乳首市は大きく生まれ変わろうとしていた。お父さんがそのまま市長になった。
街の住人は、「あの、お花を守る会」として残った胸毛を守る会の人々がほとんど。あとは、「ダンディがモテる」と聞いて、世界中から集まってきたダンディ自慢の男たちだ。
街では「俺がダンディだ」「いや、俺だ」と男たちは毎日、ダンディを競い合った。
その街の貴婦人たちは、ダンディたちの争いを横目で見ながら、お店でお茶などを楽しむのである。
そしてJリーグよろしく、ダンディ勝負に負けたダンディは、偽物と判断され、街の外に容赦なく追い出された。
夢を破れ、行くあてのない野良のダンディ。男たちは巨人の体の上を彷徨った。
大半のダンディたちは寂しさから、少し鳩胸だった巨人の人肌を恋しく思い、夜な夜な泣きながら、地面の巨人の肌に頬を擦りつけるのだという。
「優しい人だね、あんたは優しい人だね」
そう言いながら、まるでシンデレラがお屋敷の床を雑巾で拭いているように、頬を擦りつけるダンディたちの群は、いつしか『頬ずり峠』と呼ばれ、左乳首市の観光地となった。
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