戦慄のダブルオー
改造チチンコ族、相手にとって不足は無し。
それからもOH! HANAYAMAに乗ったトップガンたちが次々と撃ち落とされて、たまに帰ってくる。まるで、風船につけた手紙の返事を待つような気持ちで市長と大統領は、帰って来た兵士たちから話を聞いた。
「ち、チチンコ族は全員、両脇にいい男をはべらせて、空を飛んでいます」
そう言った兵士は撃ち落とされる直前に必死に激写した写真を見せて、バタッと倒れた。でかした。そして、おやすみ。
なっ!!
市長と大統領は、その兵士が命がけで撮って来た写真を見て、驚愕した。
そこに写っていたのは、パチンコ雑誌とかにある『幸せを呼ぶペンダント』の広告に載っている、両脇に女をはべらせて札束風呂に入るバカ男。それのバカ男をチチンコ族、両脇を筋肉むきむきのダンディーなイケメンに変えた姿。
幸せが来すぎている。その量は、実家のオカンに「お菓子が欲しい」と軽い気持ちで言ったら、段ボールに山ほどの『味好み』が届いた時の衝撃。それほどの幸せがチチンコ族にやって来ていたのだ。そして、そんなチチンコ族が一体ではない、民族全員がそんな感じなのだ。
しかも、市長たちが驚いたのはそれだけではなかった。久しぶりに目撃したチチンコ族は、ここぞとばかりに許してくれない。怒涛の笑いの波。
「こいつら、乳を両脇の男たちに持たせているぞ!」
大統領が気付いた。それに合わせて、眠っていた兵士が起き上がった。
「そ、その両乳から発射される母乳砲で全機撃ち落とされてしまいました。威力も照準も桁違いです」
その恐るべき力。
遅すぎたモテ期。70を過ぎ、姥捨山に捨てられてから訪れたまさかのモテ期に、チチンコ族の元女どもに眠っていた女性ホルモンが暴走を起こし、母乳砲という恐るべき武器が出来上がっていた。
さらにこの母乳砲を左右にはべらせているダンディ野郎が手に持って照準を合わせているという。70を過ぎてもいまだに門限は夕方の5時だというお堅い民族のチチンコ族に乳を持たせ、照準を任されるという名誉。
これは山崎豊子の名作『白い巨塔』に例えるならば、財前教授に執刀していただける患者と同じくらいに名誉なことなのである。
『クソババァの初めてをあげる』こと右の砲塔。
『まだ見ぬ、子孫への手紙』こと左の砲塔。
それぞれから発射される破壊力。
「これが七面のボスか……」
元軍人の市長は、圧倒的な敵、しかもそいつが量産型だと知り、絶望を覚えた。
しかし、そんな時、大統領は不自然なことに気づいた。
「母乳砲を撃つなら、どうやって空を飛んでいるんだ?」
確かに。
チチンコ族は、その垂れた乳を結んでブランコのようにして己を持ち上げて空を飛ぶ。しかし、改良版はその乳は砲塔として使われているのだ。
物理的におかしい。
だが、この難問を解決できる天才は右乳首市には存在しなかった。なぜなら追い出してしまったからだ。
翌日。
市長たちは、オッペンハイマー君を探すために巨人の体の上を捜索した。「すけべー!」と大声で叫んで「はーい」と返事がした方に走っていくという実に効率的な戦法は採用された。
その甲斐あって、三日後に市役所の誰かが言った「すけべー」に遠くで反応した市長の「はーい」の声。そのバカな市長の方へ走って行く途中に、野垂れ死かけているオッペンハイマー君を見つけた。
街に戻り、すぐに金と謝罪でオッペンハイマー君を元気にさせた市長らは、早速元気になった改造チチンコ族の写真を見せた。
「これは、おそらくダブルオーシステムが使われているものと思います」
ダブルオー!
その響きに市長たちは会議室で驚愕した。カッケー! ガンダムみてぇだ。
「どういうことか説明してくれたまえ」
大統領の問いに、オッペンハイマー君はダブルオーシステムを説明し始めた。
このダブルオーとは、『女の子は オナラなんかしないもん』システムの頭文字の『O』をとって「ダブルオー」と呼ばれている物理法則であった。
まず、年頃のチチンコ族の女の両脇にいい男を配置する。すると女であるチチンコ族はオナラをしたいが両脇にイケメンがいるためにオナラをすることが憚られる。
これにより、肛門からオナラが出ないように我慢をすることにより、肛門周りの空気を尻の中へと吸収する。これによって起きた上昇気流に乗って空を飛んでいるということであった。
「どうも、この改造チチンコ族はこのダブルオーシステムをさらに応用しているものと思われます」
なんだって!
また市長たちが驚いた。
応用。
市長たちが一生で一度もしたことがない憧れの行動だ。言われたことすらできない男たち。
オッペンハイマー君は、さらに『女の子は オシッコもしないもん』システム、そして『女の子は 大きいのもしないもん』システムという、トリプルダブルオーシステムを採用しているという。
さらに全身の穴という穴から出る排泄物を全て我慢することにより、もっと大量のエネルギーを体内に吸収しているのだという。
それは初めてのデートで女の子にダサいところを見られたくない純朴な男の子のような気持ちである。
改造チチンコ族。
オッペンハイマー君の説明により、とんでもない強敵であることがわかった。
わかったので、天才はもう要らないから、また町の外に追い出した。
「しかし、これでは花山さんを助けられないぞ」
大統領は困った。
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