第22話 市長の巨大テレフォンカードがぁぁ

 やれ、チチンコ族の爆撃だ!

 やれ、お乳裏ダンゴムシのモスラみたいな攻撃だ!

 街は一瞬で壊滅だ!


 しかし、そんなの花山さんにはボーナスステージ。この惨劇の最中、4万満足を獲得した花山さんは、まだ命を救えないかと、ついに病院の外へ駆け出した!


 一方、その頃、市長は。


「えいっ! えいっ!」


 市役所にあった脚立とホウキでなんとか空飛ぶお婆ちゃんを倒そうとするが、届かない。竹槍で戦闘機を撃ち落そうとした、戦時中の日本の奥様の気持ちがよくわかる。


 一方的にボコられてる状態の街側。


 そんな時、巨大ダンゴムシが街の中心に入ってきた。


「市長! テレフォンカードが!」


 ぬなっ!


 部下が指差した先、そこには初代市長に就任した記念に、巨大な銅像を建てようとしたら、「金をゴミにする罰当たり」とブーイングが凄かったので、「じゃあ」と記念に建てた全長50メートルある、市長の顔がプリントされた巨大テレフォンカードだった。


 今時誰も使えないくせに縁起を担いで「度数無限大」と小さく書かれている、それに向かってダンゴムシが突進を始めた。


「やめろおおおおおお!」


 バチコーン!


 テレフォンカードはダンゴムシの突進で、後ろに倒れ、後ろにあった市民たちの住む団地が、クソのようなテレフォンカードによって潰れてしまった。


 幸い、避難は既にすんでいたので、怪我人は一人もいなかったが、どこの電話でも使えないあんなものの為に自分たちの住む家を無くした、市民のショックは大きかった。


 そして、そこをたまたま通りかかった、花山さんがダンゴムシのぶつかった鼻の部分を手当てして去っていく。命に見境などないのだ!


「……許さん、私と市民の命よりも大事なテレフォンカードをぉぉぉ!」


 その時、自分が守るべき市民たちが、倒壊した家を見て涙する姿を市長は目の当たりにした。

 

「あの巨大テレフォンカードは、我々、右乳首市の象徴そのものだったのだ! 泣くのも当然だ!」


 市長が再び大佐に戻った。


「ものどの、人間ヤグラを作れ!」


 市長の一言に、市民たちはまるで訓練されたかのような、二十段の騎馬戦の騎馬のような人間ヤグラを作り上げた。

 ヤグラの頂点には自家発電関が乗っている。


 これは戦争、命の取り合いである。


 どんなに殴られようが、先に心臓を貫いた方が勝つ。そんな戦いだ。


 自家発電関と一番強い全長50メートルの巨大ダンゴムシが一対一になれば、横綱の自家発電に分がある。と、市長は判断した。


 目の前で見た横綱は大きかった。しかし、ここから見える遠くのダンゴムシはたとえ50メートルあって、ビルよりも大きかろうが、指で隠れるほどに小さい。これなら、横綱なら一発だ。


 完全にテレフォンカードを壊されて、頭がいかれ、遠近法という基本中の基本を想定し忘れた市長の凡ミスであった。


 プチ。


 横綱は一瞬でお乳首へと帰った。相撲とは、一瞬でケリがつく花火のような格闘技である。


「もう、いいだろう」


 オッペンハイマー君が攻撃の停止を命令した。街はボロボロだ。


「市長! テレカは倒れましたが、無傷でした!」


 おお! そうか!


 市長はその報告に、まるで勝ったかのような笑みを浮かべ、街のことがどうでも良く感じた。やったー!


「市長。お前たちにチャンスをやろう」


 オッペンハイマー君は言った。


「やったー!」

 

 市長は喜んだ。

 嬉しいことが立て続けに二個も起きると思ったら、星占いが3位であった。しかも、ラッキーアイテムが『野盗の襲撃』だという、似たようなこの逆境で運が開花したのである。


「ここに街を作ると言い出した人間を処刑すれば、我々の奴隷としてここに住まわしてやる。死んで行ったあのダンゴムシの子供の手向けにな」


 その言葉に市長をはじめ、市民は顔を見合わした。


 誰だっけ?


 元々、市長たちはアメリカ軍の兵隊だ。じゃあ、大統領か? しかし、すでにアメリカはない。


「でも、最初に胸毛を剃れって言い出したのは……」


 そこに、一人の看護師が現れた。


 ダンゴムシに踏み潰された自家発電関を見て、手当てを行う。花山さんであった。


 こいつだ。


 市長たちは、一同に花山さんを指差した。















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