第3話 で、どうする?

「ウンコのことは置いといて」

 アメリカがウンコを端に置くジェスチャーをした。

「ハピネスだ」

 ドイツが言及した。厳しい男である。たった一つのミスすら許さない。精密機械ドイツ人。時計職人のような厳しさだ。


「で、どうする?」

 一同が顔を見合す。あんなでかい巨人、どこに寝かすのか? 海で手術すればいいのではないか? という素人意見が出た。

 これに財前教授が異議を唱えた。

「あんな所では手術はできない、ちゃんとした地面の上に寝かしてくれ」

 じゃあ、どうすればいいんだ?


 広くて、排泄をしても大丈夫。そんな所、世界中を探しても……。

「砂漠だ」

 アメリカが言った。

「砂漠なら、おしっこをしても、水が砂の中に入って雨不足も解決だ」

「じゃあ、ウンコはどうするんだ!」

 ドイツが反論する。

「ウンコなら肥料になります」

 その声に、みんなが振り向いた。日本だ。日本の人が立ち上がった。

「ウンコは肥料になり、土に帰ります」

「それがどうした!」

 日本を笑った。

「春には花が咲きます」

 おお……。


 さすがのドイツも言葉が出ない。


 お花が咲く。


 この世にこれ以上の素晴らしいことはないのだ。娘が公務員と結婚するのと同等の幸せ、それが花が咲く。


 異論はなかった。

「好きなだけ、連れて行け」

 ドイツも砂漠に連れて行くことに賛成した。


 かくして、世界中の引っ張る機械とかを使って、南米で寝ていた巨人を中東の砂漠のど真ん中まで運んだ。

 アメリカの引っ張ってる機械に力が入っていない、という噂が新聞に流れた。みんなでサッカーゴールを運ぶと必ず力を抜く奴がいる、そんなものだ。と、世界中からアメリカは非難された。


 そして、海から砂漠まで巨人は転がされて運ぶことになった。ゴロゴロとうまく転がったが、道中にあった家や町を次々となぎ倒し、巨人はついに砂漠のど真ん中のベッドに寝かされたのであった。


 いよいよ、手術。


 財前教授と花山さんは、砂漠へと旅立つ。


 結局、ウンコはウンコに戻り、全ては解決した。











  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る