巨人の上の勢力争い! 上半身に住む奴ら編

第13話 お乳裏ダンゴムシ

 例えば、日本の相撲を見てみよう。力士という肉団子一つに絞っても、多種多様な生物が生息している。



 もし、雨の日に稽古終わりで肉まんみたいに狼煙を上げているホカホカの力士を見つけたら、そっとお乳をペロッとめくってみよう、乳の裏に『お乳裏ダンゴムシ』がびっしりと生息しているよ。

(図鑑『虫よ、見合いしてから交尾しろ』より引用)


 このダンゴムシは、力士のお乳の裏でしか生息できないという、とても変わった習性を持っている。

 ただのデブの乳裏にいた時は死んでいたにも関わらず、そのデブがシリコンを埋めて新弟子検査に受かった途端にコロッと元気になったという、研究結果まであるほどだ。

(図鑑『虫よ、避妊せよ。特に蜂』より引用)


 他にも、土俵際に追い込まれた時の力士のテーピングに擬態する蛾や、弟弟子がケツを拭いている間、四つん這いの力士の背中で羽を休める習性がある鷹『チャントフケヨお鷹さん』など、力士の体だけでもこれだけの生き物が生息しているのだ。


 世界は広い。


 巨人が病気になって、はや半年が過ぎた。

 並の人間なら死んでいるが、巨人はデカいから病気の進行が遅いので、財前教授、花山さんたちは手術の打ち合わせに余念がない。


 まず、巨人のお腹までどうやって移動するかという問題だ。右乳首から、巨人の患部までは車で三日かかる。

 そこからメスで切って、色々と作業をするとなっては、とても教授だけではどうすることもできないのだ。


 しかし、こうしている間も、生えてきたギャランドゥをアメリカが爆撃し、アメリカの税金はもう底をつきそうになっていた。


「そんなん知りませんよ」


 と、これも花山さんは突き放した。あえて、アメリカの反骨心に期待しようという作戦なのだろう。


 要するに、手術の仕方が誰にもわからなかったのだ。まず、どうやってお腹を切るの? そのあと、どうやって手術をするの?


 そこで、巨人のお腹の付近に空港を作ってはどうだ? というアイデアが出た。


「ちょっと待った!」


 が、これに待ったがかかる。


「この声を聞いてください」


 男がそう言ったので、会議室はシーンとした。すると


「アァン!」


 聞こえてきた声に会議室にいるお偉いさんたちは顔を見合わせた。なんたるはしたない。

 怒りながらも、好き者な奴らしかいない会議室ないのスケベどもは、その声が何なのかスグにわかった。


 せーっの。


「「「「「喘ぎ声」」」」」


 ピンポンピンポーンのBGMと共に、まんざらじゃない顔を浮かべるジジィ達であった。

 幾つになっても正解すると嬉しい。


 それは胸毛を爆撃するときに右乳首市から、OH! HANAYAMAが飛び立つときのことだ……


「あぁん!」


「なんだ?」と耳を澄ますと、それは、カタパルトから飛び立つときの擦りで巨人が喘いでいるのだ、とわかった。


 その日、右乳首市名物、喘ぎ声が生まれた。


 が、「巨人の乳首の上でそんなに乗り物が動いたら可哀想だ」とか言い出す、偽善者が現れた。


「乳首に帰還するとき、巨人がタイヤの回転に怯えているようで、震えてるんです。想像してください、あなたの乳首に高速で回転するタイヤが擦れる時を」


「そりゃ、怖いよね」と、一部の変態を除いて、これには納得せざる得なかった。

 それ以来、巨人が喘ぐ回数を制限するために、飛び立つ飛行機の数は制限されることになった。



 そんな時、とある情報が右乳首市市長のもとに入った。

 この市長は、軍の現場責任者だったが、街がそのまま大きくなってしまったので、のらりくらりと市長になった男である。


 要は、ロクな奴じゃない。


「お乳裏ダンゴムシと思われる生物が、乳首の南側で発見されました」


 それを聞いて市長の頬は赤くなった。『乳首の南側』という表現が、とてもセクシーであったからだ。市長は、この程度の男であった。


 しかし、すぐに市長は仕事に戻って立ち上がった。


「なぜ、ジャパニーズ相撲の乳の裏にしか生息できないはずの、お乳裏ダンゴムシが巨人の体の上にいるのだ!」


 すぐさま、昆虫学者の野原君と、お乳裏ダンゴムシのサンプルとして、横綱「自家発電」が日本から呼ぶことにいした。











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