第7話 あんたら本当に会議が好きだね

 アメリカは、ドイツとイタリアを呼び出して会議をした。この前の会議で、胸毛は爆撃すると決めたはずなのに、なんたる始末だ。


「だって、ねぇ」

 と、イタリアがドイツの顔を見ると、

「ねぇ」

 と、ドイツもイタリアの顔を見返した。


 なんだ、こいつら? しばらく見ない間、爆撃戦闘機を作っている間になんか仲良くなってる。


 アメリカが知らない間に、この二カ国は、胸毛支持派の票をバカにできないということで合意し『男性ホルモンむんむん同盟』を結んでいたのであった。


 そして、この同盟を機に、ドイツとイタリアは意気投合。


 今では、ドイツはイタリアのことを「イタりん」と呼び。イタリアはどいつのことを「ドイッちゃん」と呼ぶ間柄になっていたのであった。

 アメリカは、この前二人でピクニックに行った時の写真を見せられた。

 なかなか、楽しそうに写っている二人の写真。


「うわ、キレーだねぇ」


 と、思わずアメリカも「どこ行ったの?」と二人に聞いてしまい、その話で一時間ぐらい消費した。


「そういうことを言ってるんじゃない!」


 おみあげのサブレを食い終わったところで、アメリカはテーブルを叩いて話を戻した。


「胸毛の周りを囲んでいる反対派のデモ辞めさせろ!」


「それはできないんだよ……」

 イタリアがドイツの顔を見ながら言った。

「ねぇー」

「ねぇー」

 ドイツがイタリアの顔を見て、返した。


 こいつら、ぶっ殺してやりてぇぇぇ。

 アメリカの歯がカスタネットになった。

 特にドイツのキャラが変わりすぎだろうがぁぁぁぁぁぁ。


 アメリカの怒りは頂点に達した。このままでは花山の悲願はどうなる? 花山さんは巨人の胸毛を全部剃って、お胸のラベンダー畑を作ろうと思っているんだぞ!


「ならば、もう知らん。あのデモ行進ごと爆撃の餌食になってもいいというのだな」


「やれるもんならやってみろぉぉぉぉ!」


 ドイツが目をカッと見開いた。

 眉間に止まっていたハエがシワで潰れた。

 本来のドイツの性格に戻った。


「我々の国民に指一本でも触れてみろ! その時は、欧州中の国総出で返り討ちにしてやるぞ!」


 とんでも無いことになった。イタリアの自由帳にあった名前には「すぺいん」「ポルトガル」を初めてとする、ヨーロッパの各国。男性ホルモンが大好きですと言っているような国の数々。


 アメリカもさすがに「こりゃやばい」と怖気付いた。あと、隅っこにあるイタリアの落書きが面白かった。鼻くそが主人公の四コマ。


「落書きが面白いやつを敵に回したくないな」


 「俺もイタりんって呼んでいい?」って聞いたら「だめ」と言われた。これは確実に宣戦布告であった。


「ぶっ殺して、やるんだよねぇー」

「ねぇー」

 イタリアとドイツはまた仲良く顔を見合わせた。

 ちょっぴり羨ましいなぁ、と思うアメリカだった。


 こうして、巨人の左乳首には『男性ホルモンむんむん同盟』の拠点が作られ、右乳首のアメリカとの睨み合いに発展した。


 その頃、インドの花山さんと財前教授は!


 花山さんは「カレー犬」がいるとインド人に紹介されて見に行ったら、ただの老犬だったのにガッカリした。

 財前教授は、ガンジーみたいに動かない犬がいる、と楽しく観察していたら、死んでいただけだった。


 二人は、インドをそれなりに満喫していた。



 ホワイトハウスに戻ったアメリカ大統領は、頭を抱えた。

「クッソぉぉぉ」

 作戦を前に飛んだ邪魔者が入った。ドイツとイタリアといえば、第二次世界大戦以来ではないか。


 なんか仲間を連れてこないと、このままでは爆撃ができない。ええい、戦争じゃ、胸毛大戦争じゃ!


 とりあえず、仲間になってくれそうな国を探す、そこから始めよう。外交だ。














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