概要
邦彦は剣道部の中学三年生だが、試合は負けっぱなしで、明日で退部する予定だった。
次の日、世界は突然ゾンビに覆われた。
両親も死んだ。同級生も死んだ。部員も死んだ。
生き残ったのははるか遠くにいる、片思いの幼なじみ。
邦彦を助けてくれたのは、それまで大嫌いだった剣道だった。
【登場人物】
邦彦:本編の主人公。剣道初段。
じいちゃん:邦彦の祖父。剣道教士七段。
サラ:小笠原流弓馬術礼法騎射五杖免許。
ネコ:中国武術である長拳と査拳の練功者。
ショウ:剣術、二天一流兵法の門下。
ユーハ:フェンシングの選手。
シキ:邦彦の同級生。剣道初段。
ユミ:邦彦の幼なじみ。なぎなた初段。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!ゾンビ映画を文字で見よ!
基本ストーリーは、少年が成長しながらお姫様を助けに行く話。
ストーリーラインは非常に素直で単純だ。
しかし、そこに日本刀をはじめとした武器、そして武術というエッセンスがたっぷりと詰めこまれている。
さらに、漫画チックな個性的なキャラクターたちが暴れまわることも強い魅力を放っている。
だが、それはあくまで味付け。
やはり、ゾンビ!!
このゾンビの導入があまりに自然で驚く。
少年の一人称ながら淡々とした文章で、日常から非日常へと運ぶのだが、その運ばれた先の非日常がなぜか日常のような空気を漂わせている。
その独特の雰囲気が強い個性を放って、「怖い」というよりも「面白い」という印象を強…続きを読む - ★★★ Excellent!!!築かれる屍、生者に託される思い。それでも彼等はこの世界で生き続ける。
まずね、タイトルに惹かれますよね。
そして次に浮かぶのは「カネサダ」って誰の事?ってなりますよね。
この言葉が指すのは会津兼定、つまり一振りの刀なんですね。
よく刀とは武士の魂とは言いますが、本作ではキーとも言える立ち位置。銃規制により日本では基本的に銃は出回ってません。(猟銃を除く)ロメロ(監督)ウィルスが蔓延し、死に掛けと呼ばれるゾンビが徘徊する町で刀は有効な防衛手段として利用価値のあるものとなりました。
なら、北極星に向けろとは単に方角を指しているだけなのか?
否、それはご自身の目でお確かめ下さい。
ひとまず
「12話 永遠には生きられない 」まで読んでその意味を確認してみ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!明日、この世が死ぬとしたら
始めに断っておくが、私は作者・梧桐彰氏のいわゆる固定ファンである。
氏の作品はことごとく私にとって琴線に触れる傑作良作ばかり。未だかつてハズレと感じたことはない。
しかしながら、今作に関しては当初非常に困惑し、読むかどうかをかなりためらった。
なにしろ内容が「ゾンビを日本刀でぶった斬る話」である。
ゾンビといえば、半死人が徘徊し、生者を襲い、かくして世界は亡者の王国となったのでした――そんなB級映画のイメージしかない。
この作品は本当に大丈夫なのか? いくらなんでも、私の好みに合わないのでは?
そんな一抹の不安とともに読み始めた。最悪、口に合わなければそっとブラウザを閉じればいいのだと呟い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ひたすらに、北極星を目指せ。
突如として崩壊した日常。
昨日まで何気なく過ごしていた街が、ゾンビが蔓延る悪夢のような世界に。
あまりにも呆気なく地獄へと変貌した世界で、少年は幼なじみを救いに行く。
主人公である邦彦は戸惑いつつも着実に知識を積み上げ、技を磨く。
死臭漂う街を生き抜こうと戦う人々との出会いもまた、彼に様々な変化を与える。やがて初めは少し頼りなかった邦彦の姿は、徐々に力強いものに。
出会い、別れ、託し、託され、獲得し、喪失する。
そんな巡りの中で邦彦は『死にかけ』を倒し、幼なじみのユミを救うためひたすらに進み続ける。
流麗な文章は、これらの過程を確かな説得力を持って読者に訴えかけてくる。
丁寧に作り込ま…続きを読む - ★★★ Excellent!!!サブウェポンはスコップで決まりだ!
まずこの作品ですね、タイトルがいいですよ、うん。
シンプルだけど凄くカッコいい。
「なぜに北極星? しかもカネサダってなによ。銀牙伝説ウ〇ード?」って、気になって仕方なかったですもん。とてもキャッチーです。
タイトルの意味が分かった時は、「おお~」ってなりました。
そして内容。あらすじの通りゾンビ物ですよ。
ゾンビ物って、書くの凄く難しいと思うんです。
だって、ゾンビが出るって最初から分かってるから、よほど超常的な要素でもない限り、ストーリーのオチもなんとなく予想がついちゃうじゃないですか。
でもこの作品、おもしろかった。
普通の中学生だった邦彦が、ある日放り込まれた非日常の中で、剣の達…続きを読む - ★★★ Excellent!!!命の教えを刻み、少年は幾重もの屍を踏み進む。兼定とともに。
やり直すはずだった日常が、壊れていく。
突然のことに主人公、上町邦彦は現状に追いつけない。中学生、15歳なら無理もないでしょう。
彼は祖父をはじめ、様々な人達――個性豊かな仲間たちに生きることを教わりながら、迫り来る「死にかけ」を倒し、踏み、進んでいく。
幼馴染の女の子、ユミを救うべく。ただの幼馴染という枠を越えて、大事な存在となっていく彼女を想い、時には辛い別れも刻みながら一歩ずつ強くなっていくのです。
好きな子を救うために敵を討つというシンプルな構成ですが、それがいい。最後まで圧巻でした。
「ゾンビVS日本刀」ってキャッチコピーに惹かれ、そしてタイトルの「カネサダを北極星へ向けろ」がか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!傑作!!
小気味好いテンポに優れたプロットに魅力溢れるキャラクターに、徹底した世界観のリアリティと読者を飽きさせない緊張感の連続と、どこをとっても一級品!
いわゆるゾンビの溢れる世界でサバイバルを繰り広げる作品はいくらでもありますがその中でも群を抜いて面白い。ゾンビ相手にただ武道で立ち向かうのではなく「武道の知識、経験をどうやって生き残る為に活かすか」が練られており、武芸に対する知識と哲学が物語に深みを、キャラクターに魅力を加えている。
またリアリティの追求が徹底しているから、ゾンビが溢れるという虚構に対して全体がニセモノっぽくならず「本当になったらどうしよう」という恐怖と緊張を感じる。
ストー…続きを読む - ★★★ Excellent!!!たった一人の少女のために、少年は生と死の境界線上を駆け抜ける
「板子一枚下は地獄」という言葉がある。
これは、船底一枚を隔てれば、そこには落ちたら助からない、危険だらけの海が広がっているという、船乗り仕事の過酷さを表したものだ。
一見すると堅牢・安全に見える現代の日本社会も、地震や台風、大雨や大雪のような自然災害の前には無力であることがしばしばだ。
我々の暮らすこの平和で快適な社会は、実際には荒波の中に浮かぶ一隻の船であり、「板子一枚下」には地獄が広がっている。
本作は、そのただでさえ危うい社会がパンデミックによるゾンビの大量発生という、未曾有の事態によって崩壊した中で紡がれる物語だ。
「好きな子を助けたい」という一心で突き進む主人公…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界が死に覆われてしまっても
剣道部に所属している上町邦彦は、幼馴染のユミと自転車で帰る途中、祖父に「病気か?」と突然意味深な問いを投げかけられる。
そして、次の日、世界は動く死体だらけになっていて……。
邦彦の視点で描かれていく本文の心情描写がとても丁寧で、ひとつひとつの表現がその場の様子を的確に伝えてくれて想像しやすいです。
正吉おじいさんがとにかくカッコよくて大ファンになりました。
邦彦が少しずつ覚悟をもって成長していく様も、状況がきちんと描かれているため無理なく自然に感じました。
物語自体は比較的王道かと思いますが、非常にキャラが良く立っていて、リズムもテンポもよく、闘う彼らを心から応援したくなる作品です。