切ない情景を描いているのに、終始清々しい描写です。だからなのか、むしろ空虚なようにも見え、それがいっそうのこと、侘しさというか、やるせなさというか、人の無力さというか、そういったものを感じさせます。途中から、不思議な感覚にとらわれて、「このお話は何を主眼としているのだろう」と問いながら読み進め、そして戻っていく。読者の記憶に深く残ること間違いない作品です。