ある惑星での関係

 その人々は、わけあって地球から数光年離れた惑星で暮らしていた。その惑星には空気があり、地球に生息する生き物とよく似たものがたくさんいた。地球と違い、太陽と同じ役割をする惑星の周りを一定の丁度いい距離で回っているので、一年中春だった。つまり、暮らしていくには充分。人々はそこで争うことなく暮らしていた。

 しかし、そこでの暮らしは完璧ではない。なぜなら、この惑星には、人の形をしているが、体は銀色であり、頭がでかく、目もとても大きい生物がいるのだ。いかにも宇宙人といった見た目。しかし、一度もその宇宙人が起きているのを見たことがある者はいなかった。あまりにも起きないので、死んでいるかと思った者が、恐る恐る心臓が動いているか確認したところ、右にあった心臓はしっかり動いていた。

 人々はいつこの宇宙人が起き、出ていけと言われるかが心配だった。そんな人々は、不安を消すために武器を作りはじめた。もし、この宇宙人と戦うことになっても大丈夫なように。そんな状態なので、人同士の争いは起きない。そんなことは、その惑星に住んでいる人々にとって、想像もできないことだった。

 人々は、木の下などで眠っている宇宙人を見る度、話し合う。

「こいつらは一体何なんだろう」

「わからない。まあ、唯一言えることは、油断できない存在だということだな」

 人々はいつまでもいつまでも、未知なる敵との戦いに備えるべく、協力しあうのであった。


 真夜中。人々が寝静まった頃、その宇宙人は起きた。この日だけたまたま起きたのではなく、この宇宙人にとっては、夜こそ生活する時間なのだ。

 宇宙人は話し合う。

「本当、いつも寝ているあいつらは何なんだ」

「まったくだ。いつの間にかこの星に現れたのにも関わらず、起きている所を見たことがない。一体いつ、どこからどうやって来たのだろう」

「さっぱりわからない。しかし、確実に言えるのは、こいつらが起き、戦うことになってもいいように備えることだ」

 この二つの種族がぶつかる事はない。しかも、お互いの存在のおかげで戦争が起きないのだから、こんなにいいことはない。

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